2011年4月19日 (火)

ぼくのかんがえたけいはんでんしゃ(プロローグ)

 東日本大震災の衝撃に隠れてしまったが、西日本の鉄道にも今回の東日本大震災は大きな影を落とす事になった。

たった一つの部品が供給されないだけで、電車の運行が止まるという事態。これは予想していなかった。まさしく想定外だ。

電車は電気で動く。その電車の大半は「直流」という電気で動いている。直流電気は電車の構造、特に駆動部分を作る際に最も最適なモーターを作る事に適していた。

そのモーターにどうしても必要だったのが「直流電動機ブラシ」という部品。この部品は直流モーターの制御をするにはどうしても外せない。しかし、この部品は容易な構造故に摩耗が激しく、定期的な点検や清掃や交換がどうしても必要になる。

その部品を作る最大手の工場が、今回の大震災で被災した。しかも、あの原発の制限エリア内に工場があった。作りたくとも作れない状態に陥ってしまったのだ。

『作れないのならば、別の場所で作ればいい。』

確かにその言葉は正しい。ただ、この「直流電動機ブラシ」を用いる車両はなかなか作られていないのが現状だ。直流モーターより効率性が高く、保守性にも優れた「VVVFインバータ制御」という新しい技術がお目見えした結果、登場する鉄道電車の大半がVVVFインバータ制御の車両となっている。

なので、部品を作る会社からすれば新しい工場を建設しても将来に明るい展望が無い。かといって作らなければ今の電車は次々と動かなくなっていく……。現在は最大手以外の会社の奮闘や関係各所の協力があり、部品はある程度生産できる目途がついたということで電車の運行は通常通りとなったが、安定供給という面から考えると少し不安の残る結果となってしまったのだ。

西日本の鉄道会社には『古い物を大切に使う』というケチ……いや、工業製品に対する大いなるリスペクトがある。ただ、リスペクトするだけでは公共交通機関は成立しない。リスペクトしつつ、新たなステージを目指さなければいけないだろう。

……前置きが長くなりました。今回は久々の妄想シリーズです。

今回問題となりました『保守部品不足による運休』。西日本ではJR西日本さんや近鉄電車さんで多く行われました。近鉄さんは保有している車両の約3割、JR西日本さんでは保有している電車の半分で「直流電動機ブラシ」を用いているそうです。

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その中でも群を抜いているであろう会社があります。そう、当ブログでよくネタにされる京阪電車さんです。京阪さんはただでさえ「物持ちのいい会社」と定評があり、古い車両の見えるところや見えないような細かい点にまで様々に手を加えています。

その車両を制御方法で分類すると以下のグラフのようになりました。

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鉄道に詳しくない方でも「VVVF」という名称は聞いたことがあるのではないでしょうか。この「VVVF」という制御方法以外に「界磁添加励磁制御」「抵抗制御」 という制御方法があります。この「界磁添加励磁制御」「抵抗制御」という方法に「直流電動機ブラシ」が使われています。

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系統別に分けますと、全体の68%が「直流電動機ブラシ」を使用した車両です。その割合はJR西日本さんよりも多くなっています。そのせいか事前に多くの部品をストックしていたようで、今回の影響をJR西日本さんや近鉄さんより受けなかったようです。

Rw280 (京阪さんの古い電車代表格、左:2400系、右:1000系)

しかしながら幾ら保守に定評のある京阪さんだとしても、今回の問題は何らかの対策を練らなければいけない事態になったと気付かされたのではないでしょうか。

ま、平たく言えば新車を導入しろって話です。

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「新車を導入しろ」といっても、鉄道車両は大体一両1億円ちょっと。一般人がいくらロト6を買って、運良く満額で当たったとしても3両買えたら御の字。TOTOBIGが当たっても5両位しか買えません。

Ic14 (この電車は京急さんからのおさがり)

なので地方私鉄の場合は大手私鉄で使われていた古い車両を手直しして再利用するケースが多く見受けられます。

そこで、今回は出来る限り費用をかけずに京阪電車の車両を置き換えるように考えてみましょう。(続きます)

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2010年10月31日 (日)

スカートの流儀

普段、何気なく乗っている鉄道車両。ボンヤリと乗っていると気づかないのですが、一度気づいてしまうと毎回何気なく気になってしまう。今回はそんなお話です。

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今回取り上げますのは鉄道車両を構成する上で意外と欠かせない「スカート」。

……本来ならば今回のお話の枕として「ある有名人との2ショット写真」が冒頭にあったのですが、諸般の事情で割愛させて頂きます。まぁその方がシャバに出てきて、私が何となく覚えていたら掲載しようかと思います。

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本題に戻りまして、「スカート」でございます。この装置正式名称は「排障(はいしょう)装置」。実務的には異物を電車の車体下に入りこませないようにガードする為に設置されています。近年はデザイン上のアクセントとして組み込まれ、鉄道車両といえば「スカート」があるのが当たり前になってきています。

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元々は「カウキャッチャー」と呼ばれる結構大層な設備でした。昔の車両にはそれを再現したものが設置されていますが、実際には電車の前には「電車が来るぞー」と叫んでいた人がいたと聞きます。その話を聞いた時、カウキャッチャーの役割は本来の役割というより、ちょっとしたお飾りみたいだと思ったのは私だけでしょうか。

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もちろんこのスカートが無くても鉄道車両は走行できます。家の近くを走る電車にはスカートが無い!と焦らなくても大丈夫です(事故を起こした時大変なだけです)。

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ただこの「排障装置」、2段構えになっている事に気づく人は意外といません。

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先頭車両の運転席側の車輪、この前に小さな突起物があります。これが「排障器」と呼ばれる装置で、鉄道車両には必ず搭載されています。

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JRの高速で走行する近郊型車両や特急用車両ではこの装置が大きな形状となって設置されています。一方の私鉄は特急車両であっても小型の装置が取り付けられています。

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二段重ねで安全を確保しよう。これだと多い日も安心……じゃないけど、そういうことにしておきましょう。

さて、この「スカート」。よくよく見ると幾つかの系統に分けられるようです。少し分類して行きましょう。まず初めに基本形である「実直型」。

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付け方が素直。最低限の直線だけで構成されたスタイル。大抵新造時に装備していなかった車両にスカートが付けられる場合こういう形状になりやすいです。元々設置する空間を設定していませんので、付けられる空間に無理やりくっつけたようになっています。ちょっとした匠なら即リフォームの対象でしょうね。

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その匠によるリフォームっぽいデザインがJR西日本さん201系。元々の装備品を取り外して強化型にしたそうです。たしかにこのデザインは強そうです。

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もちろん国鉄型の車両だけでなく、私鉄にもその系統は存在しています。こちらの場合は一本の鉄で仕上げるのではなく、幾重にも支柱と鉄板を組み合わせたタイプ。武骨っぽく見えますが、なかなか頼れるデザインではありませんか。

次に意外と多いのが「セパレート型」。

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電気連結器などの設備が連結器下にあり、機器の都合上大型のスカートを配置しにくいために左右別れた、もしくは別れたように見せているタイプがこのタイプに該当します。

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併結が多い路線区を走行する車両の場合、煩雑な作業を簡便化するためには電気連結器を付けなければいけません。付けられる位置はどの車両も同じ場所にしなくてはいけませんので、デザインするとどうしてもこういう形状になりやすいです。

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既存の車両でも機器の都合によってはセパレート型のようになってしまう場合もあります。実直型が多い近鉄電車の中で、阪神線への乗り入れ対応型車両は機器の都合でスカートを切り取っています。幾分不格好に見えるのは気のせいでしょうか。

そしてここ最近増えているのが「鉄仮面型」。

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スカートが正面だけでなく左右にも伸びて構成されているものが「鉄仮面型」です。機器の都合上で車体正面に空間が無い場合、デザインと強度を両立させるためスカートを側面まで伸ばして付けられています

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京阪さんの3000系はこの鉄仮面タイプの発展系とよばれるスカートとなっています。しかしよく見るとデザイン上連結器の下の部分、スカートの真ん中の部分が切り分けられるようになっています。

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このタイプはセパレートタイプへの準備対応もしやすいので、鉄仮面型と称しつつもセパレート型へ対応できるようなつくりになっているケースが多いです。近鉄さんのシリーズ21は特にその形状から推測できやすいデザインとなっていますね。

そして忘れてならないのは「車体一体型」です。

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車体のデザインとして完全に同化しているものが該当します。在来線の特急型車両の多くは武骨なものではなく、しゃれたデザインとなっているケースがほとんど。

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車輪の前には排障機があるのでデザイン性に富んでいても影響はありませんが、空気抵抗などの影響がある新幹線ではこの部分が特に重要視されており、明らかに一体化されています。昔の武骨なデザインもよかったのですが、コレは仕方ないです。

……さて、ここまで説明してみましたが、いかがでしたでしょうか。明日から出勤通学の際、フイに気になってるはず。こういうところにも鉄道を支える人々の細やかな配慮があるんだと気づいて頂ければ幸いです。

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2010年9月25日 (土)

こういうのが出来たらいいなぁ

 さて、週末でございます。

何かしようにも今週は色々とありすぎましてねぇ……(遠い目)。とりあえず中嶋という名前のプロデューサーには「○×クイズはオーディションではない」「一部地域だけの特例は許さない」とだけ申し上げておきましょうか。ええ、思いっきり愚痴ですが。

とはいえ一応こちらは鉄道のブログ、何らかの鉄道ネタで皆様のご機嫌を伺うのが信条だったりします。取材もネタも何もしていない状況で提供できる項目と言えば……

はい、妄想ですね(キッパリ)。

でもって、今回の妄想というのはちょっと実現可能なんじゃね?と思うような妄想だったりします。まずはこちらをご覧ください。

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こちら、以前「ああ」という記事で紹介した「新幹線のロゴにコレどう?」という画像です。何故かこの画像が海外のBBSで「こういうロゴになることを希望する」と紹介されたこともありましたが、今回は昨今の「さくら」の他に「みずほ」という名前の新幹線も導入されるのではないかという話もありまして、あえてこういう形にしてみました。

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前出の「さくら」をイメージした画像に「瑞穂」を追加してみました。いやあ、急速にダサくなっちゃいましたね。ネタ的にはどこかの党首をコラージュしてもよかったんでしょうが、面倒な事になりそうなので止めておきます。

それはそうとして、今回は妄想ネタです。この九州新幹線の車両、営業運転としては鹿児島中央駅から新大阪駅までの区間なのですが、この車両を東京へ移動させる方法は無いか少し思案してみました。

……思案したといっても単にこういうことです。

現在JR東海とJR西日本は合同で「N700系」という新しい新幹線を導入しています。そのN700系の別バージョンが九州新幹線の「さくら」や「みずほ」に導入されます。厳密に言えば違う部分が多いのですが、外見や基本的な内装の仕組みはほぼ一緒。

そこで、あえて東京へ乗り入れる「N700系」の外装の一部を「AMBITIOUS JAPAN!」キャンペーンの外装みたいにシールで覆い、九州新幹線用のN700系っぽくデザインします。

そしてその車両のグリーン車1両分を九州新幹線で使用するグリーン車用の座席に変更します。基本寸法は同じなので支障は無いでしょうし、座席を実際に使用させることで「こういう新幹線が走るのか」という広告にもなりうると思います。

まぁ実際にやろうとしたら色々と障害はあるんでしょうが、コレはコレで妄想って事でお許しいただければ幸いです。

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2010年7月31日 (土)

そうか、冷房を入れよう

 私事で恐縮ですが、先日冷蔵庫が壊れました。念のため突っ込んでおきますが、令三ではなく、冷蔵庫です。……この手のギャグがわかった人は一緒に反省しましょう。

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そのため近くの某家電量販店さんで中くらいの冷蔵庫を購入いたしました。中くらいと言っておきながら結構いいお値段。ちょうどエコだかエゴだか分りませんが、申請すれば商品券がもらえるそうなので早速申請しておきました。そのついでにクレジットカードまで作らされる始末。嗚呼また無駄なクレジットカードが増えていく。

……財布の中は冷え冷えとしていますが、世間は夏。冷房をかけて部屋で過ごすことも多い事と存じます。今回は前回に引き続き「鉄道の冷房」のお話です。

前回は鉄道の冷房には大きく分けて3つあるんだという事をご説明いたしました。今回はその冷房の強さを御紹介しましょう。

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その前に鉄道車両は一体どれだけの大きさなのかを改めて検証しましょう。JRさんの場合、車両の長さは在来線の場合20メートル、横幅が最大で2.96メートルとなっています。これを畳何畳かこちらのサイトを利用して計算してみましょう。

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京間サイズの畳の場合だと在来線の大きさは最大で約32.5畳ということになります。お部屋にすると結構いい物件です。もちろん実際の鉄道車両の面積はこの数値以下になりますので、ざっくりと約30畳分の空間ということにしましょう。

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この30畳分の空間を冷やすにはどれだけの能力が必要か、我が家で導入しているシャープさんのエアコンで調べてみると、20畳分のエアコンが2台あれば対応できるようです。その際のエアコン能力が合わせて約13キロワット。コレが大きいのか小さいのかは皆様に判断をお任せしますが、鉄道の車両を冷やす場合調べてビックリしました。

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少し前に京阪神地区の新快速として使われていた117系という車両の場合、使用されているエアコンのキロワット数はなんと約46キロワット!20畳のエアコン約7台分のものが使用されています。

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(鉄道車両の窓は普通の建築物と比べると設置個所が多く、面積が広い)

確かに家と鉄道車両を比較すると、窓や扉の数が多かったり、金属の車両故に断熱効果が低い等の不利な点が多く見受けられます。しかしながらそれでもこの大きさ!そりゃあ涼しいハズです。

一方、最初に冷房車両として登場した京阪2400系の場合、ひとつの分散型の冷房能力が約5キロワット。これを家庭用のエアコンにすると約16畳分のエアコンに相当します。

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京阪電車の場合、車両のサイズを畳で計算すると最大で27.24畳。つまり、約27畳の広間に16畳分のエアコンが8台搭載されている事になります。そりゃ冷えますわ。

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(2600系等に搭載されている集約分散式は約8.8kw)

流石に冷えすぎたということを考えたのか、新しく冷房機器を搭載する車両は約9キロワットの冷房能力を持つ集約分散式型を採用しています。ただ2400系の冷房能力と比較した場合若干劣ることもあってか、客室内には京阪電車特有の冷風グリルを設置しています。

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ちなみにこの冷風グリルの近くは冷房機器への空気取り込み口となっており、通常ならば冷風が出てこない場所です。そこにこの冷風グリルを搭載して意地でも冷やそうとしたのでしょう。ここらへんが京阪です。

さて、ここからその京阪電車さんのちょっとした面白いお話。

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京阪電車さんは6000系という車両を導入する際、車両のデザインを今までとは全く違うものに変更しました。その新しいデザインは「色だけが京阪電車であると物語っている」と言わしめた程です。しかし、残念な事にこの車両「冷房が効かない」と言われてしまいました。

Rw172 (赤い矢印が冷房機器の室外機)

従来の車両と比べると確かに冷房の機器の数が従来の車両と比べると1つ少なく、尚且つ冷房能力が2400系と比較すると約87%程しかありません。その出力の無さをカバーするように室内の温度をコンピューターで制御する最新の機能を搭載して、快適な車内を作り出すように工夫はされていたようです。でも、暑いもんは暑いんです。仕方ないんです。

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その冷房能力を増強するために、一度冷房機器を取り換えまのですがやっぱり暑い。結果もう一回取りかえる事となり、現在では合計で約43キロワットの冷房機器が搭載されています。ちなみにこの数値は5つ扉がある「5000系」とほぼ同等。扉の数が少ないのに同等の冷房出力を必要とするのはやはり「窓」が関係しているのではないでしょうか。

まぁ、そこは本末転倒な心意気を見せつける京阪電車です。これからまた新しい心意気を見せて頂くことを期待して、本日の更新ここまで。ありがとうございました。

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2010年7月24日 (土)

私に冷たい理由

 このところ「鉄道の現場」で働いていらっしゃる方々から冷たい視線を感じております。ええ、何となく原因はわかっております。冷たい視線を感じるのに、世間は暑い夏です。

Bashi48 (写真は一昨年のネタから流用)

すっかり世間の季節は「土用」。ウナギに餅にビッグウェーブ、ついでに「めちゃイケ」な「世界一受けたい授業」な季節だったりします。……まぁ最後のは関係ありませんが、とにかく連日連夜酷暑を感じる季節です。

そのような状況でも、電車に飛び乗ると体一面に爽やかな空気に包まれます。

Bashi50 (こちらも流用)

電車のクーラーに助かったと思う反面、目的地付近に近付くと「暑いから降りたくねぇ」と思うのは私だけではないはず。今回はクーラーのお話で皆様のご機嫌をお伺いします。

Rc520 (コレも流用)

日本で初めて冷房列車を走らせたのは大阪の難波駅から和歌山方面へ結んでいるあの「南海電気鉄道」さんです。1936年に冷媒を付随車、平たく言えばモーターが付いていない電車に付けて運行したのが最初です。ここらあたりの説明はそのうちロザンの宇治原さんが雑学関連のクイズ番組で答えてくれることなのでザックリ省きます。

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その後冷房が普及するのは第二次世界大戦後。特急用や急行用等の車両へ付けられました。一般型、いわゆる通勤用の電車に付けられたのは1959年の名古屋鉄道さんが所有していた「5500系」が最初だそうです。関西地域の通勤電車では京阪さんが1969年に「2400系」という電車で導入したのが最初とのこと。

で、この冷房装置。幾つかの方式があるというのをご存知でしょうか?まずはこちらをご覧ください。

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この3つの写真は全て同じ「冷房装置」ですが、少しずつ形状が違うのがお分かりでしょうか。左から順番に「分散式」「集約分散式」「集中式」と分類されています。

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「冷房装置」が出てきた当初は機械一つで完結するところや、冷房用のダクトが必要でないこと、騒音や故障した際のリスクを回避するという意味合いで「分散式」が採用されたようです。しかし「分散式」は数の多さから保守点検をする際正直面倒です。尚且つ通勤型の車両では「冷やす」だけだと正直間に合いません。

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そこで国鉄では通勤型や近郊区間用の車両には「集中式」の冷房を採用しました。大型の冷房装置を一か所に設置する事で保守点検の煩雑さを回避。多くの車両へ短期間のうちに導入することが可能となりました。

Rw161 (扇風機の周囲にあるものが冷房のダクト)

しかも通勤型の冷房車両には従来設置していた扇風機をそのまま温存。冷房時には回転させて冷気を撹拌する役割を与えたのです。現在では「クーラーと扇風機の併用」というのはほぼスタンダードになりつつありますが、国鉄は設置した時からやっていたことになります。

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当然のことながら夏場の冷房は乗客の皆様に大好評でした。その好評を受け、各々の鉄道会社では既存の車両を冷房化する工事がスタートします。その際に問題となるのが車体の強度。それまでの鉄道車両は現在の車両と違い結構華奢に作られていました。元々屋根の上に乗せる部品というのは軽いものが大半でしたので、そういうところまで考えが及んでいなかったのです。

Koneta20080209 (色々と大変だった京阪1900系)

そこに冷房装置を載せるとなると一大事です。冷房の室外機だけでなく、冷房装置によっては冷風用のダクトも室内にしつらえる必要が出てきます。その面を最初から計算して作り出された車両なら大丈夫ですが、全く考えていない車両の場合、屋根を支える部分を強くしたり、屋根そのものを強くしなければいけません。

そのリスクを承知して「分散式」や「集中式」を採用する会社もある一方、リスクを出来る限り回避するために「分散式」と「集中式」のいい面を取り入れた方式を導入する会社も登場しました。それが「集約分散式」です。

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(京阪の集約分散式冷房装置。右の出っ張りは冷風を送る横風ダクト)

「冷房装置」の機能が格段に進歩し、コンパクトで大容量のものを作れるようになったことや、故障の際に発生する空調が使えないといったリスクを回避することがこの「集約分散式」によってできるようになりました。

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でも首都圏の通勤用車両の場合、保守の手間ということを考えて近年では「集中式」を採用しているところが出てきました。こういう面から見ても、鉄道会社の考え方が見えてきて面白いんですよねぇ。

さて、ココからが本題となります。

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2010年7月13日 (火)

ミュージアムトレイン、なう。

 先週の土曜日、日付で言えば2010年の7月10日。梅雨明け前の青空がひと足早く心を躍らせるそんな日に私は京阪電車の中之島駅にいました。

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普段はラッシュ時にしか使われない切り欠いたホームを開放し、あるイベントがこの日から開催されました。……当ブログに直接リンクで来られた方ならある程度は御存知だと思いますが、今年は京阪電車が開業してから100周年。つまり一世紀ということで、ソレを記念したイベント列車を京阪さんは用意しました。

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名付けて「ミュージアムトレイン」。一言で例えるならば「京阪電車の100年間をギュッと閉じ込めた移動式の博物館」です。

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(左:一見「水戸岡鋭治デザインか?」と思った。右:いい被写体ですねぇ。)

モスグリーン一色に塗られた車両は昭和2年に登場した「ロマンスカー」をイメージしたものだそうで、車体に描かれた文字や椅子に座っている人の絵もその時代をイメージしたもののようです。

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車内にあった座席や網棚はところどころ撤去され、そこには新たに展示品を置くスペースが構築されています。吊り広告等の部分には昔懐かしい広告を見事に配置。列車という狭く特異的な空間を巧みに使っています。

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展示品は以前京阪百貨店で開催された「京阪100年のあゆみ展」で展示されたものだけでなく、新たな展示物も多数配置されています。

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(左:高架駅になる前の枚方市駅。右:今まで出したグッズなんかも展示されていた)

私個人が「いいなぁ」と思ったのが、今の駅と昔の駅の写真。こういう写真で懐かしさを感じるようになると、私もいいおっさんになってきたんだなぁ。今回の展示物をこのブログで全て紹介するとアレなので、出来れば現地で確かめて頂ければ幸いです(……だってこういう機会が無いと中之島線に乗らないでしょ)

ちなみに私が気になった「ポイント」をいくつかお伝えします。まずは車内に展示されている鉄道模型です。

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京阪100周年公式ブログにかのーさんが書かれていた「つぃ―と動く」Nゲージです。つぃーとあさっての方向へ動くことなく元気に前へ走っていましたが、コレよくよく考えると「何処から電気取ってんだろう」って気になりませんか?答えは車端部にありました。

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どうやら空調や照明で使用する配電盤から分配しているようです。それもダイレクトに化粧番へ穴を開けて付けてらっしゃる。まるでこの車両の運命を予言しているかのようです。

次に気になったのが「塗装」。

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冒頭に登場しました「ミュージアムトレイン」を見て皆様はお気づきになられませんか?私も正直パッと見わかりませんでしたが、帰る間際に気づきました。この「ミュージアムトレイン」には「ある部分」がわからないようにしてあります。それは……

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そう、スカート(排障器)の色をわざわざ黒にしているんです。昔の京阪電車の車両はスカートが付いている事は殆どありませんでした。昔の車両をイメージするのであればスカートを外すのがスジなのでしょうが、流石に現在では無茶無理無謀無計画。安全とイメージを両立するためにこの方法を取ったのでしょう。これは「アッパレ!」です。もうひとつアッパレなのがこの展示!

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「本物の運転台に座ってみよう」

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「ミュージアムトレイン」に使用されている2600系という車両は、元々鴨東線開業後に計画されていた叡山電車への乗り入れに対応するために編成間には運転台が多数組み込まれていました。 結果乗り入れることはなく現代に至るわけですが、その計画で残った運転台を体験型のアトラクションへと仕立て上げています。

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(本物の運転台に座る。画面では伝わらないですが、めちゃめちゃ興奮してます)

動かないとはいえ、本当の運転台です。マスコンもブレーキレバーも、そして無粋なワイパーのモーターも本物です。何もかも本物という状態に触れることが出来る……これを楽しいと言わずして何を楽しいというのか!

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鉄道に対する情操教育の場としても最適であろう乗務員スペース、この反対側にある車掌さん専用のスペースも開放されています。戸閉めスイッチなどは動かないように設定されていますが、それでもこういう機械をみるというのはたまらんものがあります

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こういう展示をすると聞いた朝日放送さんが早速当日取材に来られていました。以前は夕方の「ニュースゆうプラス」でしたが、今回は早朝の「おはようコール」さんとのこと。若い女性レポーターさんがインタビューを始める度に猛烈な音を立てて電車が通り抜けていたので、果たして本当に撮影できたかどうかはわかりませんが、これはこれでいい宣伝になるのではないでしょうか。(個人的には「す・またん」の斉藤雪乃さんがレポートした方がいい感じになると思うんですけどねぇ)

このミュージアムトレインは7月17日・24日・31日、8月1日、8日、11日、12日、15日、22日、29日に中之島駅で展示されるそうです。もしお時間がありましたらお越しくださいませ。コレは本当に一見の価値ありです。

 

 

 

<オマケ>

Rw153 (キミすごい姿勢でVTRチェックしてるなぁ)

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2010年6月19日 (土)

新たなる夜行列車を………

 先週から約1週間、何となくブログで宣言してから色々と考えておりました。こういう妄想シリーズを考える際に「この妄想を見て『それいいな』と感じてくれる人がいる」ということを前提に色々と考える事にしています。

何も無い白いキャンバスからポンポンとアイディアを出すというのはとても楽しい事です。だけど、アイディアを形にするには奇抜だけだと面白くありません。ゲームもルールがあるから成立していますので、今回の妄想も「ルールに則った」ものでないといけません。

前置きが適度に長くなりそうなので今回の「妄想夜行列車」、現段階で整ったところだけを申し上げます。まぁ簡単に言えばこういうところで予算を調整しているってことです。鉄カフェの画像も作っとかないといけないしねぇ……。

さて、新型の夜行列車。私はこういう感じで自分なりのルールを決めてみました。もちろん「実際に作るとしたら」という大前提でやっております。

1:新型夜行列車(妄想)は50Hz・60Hz両対応の交直流電車で製造する。ただし非電化区間への乗り入れを考慮し、編成内に電源供給用の発電機を設置する。車両はJR九州が所有する事を想定しているが、エリア外の狭小トンネルに対応する構造とする。

……これはJR他社に対するプレゼン的な意味合いを強くするという意味合いで提示しました。平たく言えば「実験台」です。実際にレンタルすると同時に、九州へ来ればこんな電車も走っているんだという会社の宣伝にもなります。また全ての路線に対応する事でどのような技術を詰め込むことが出来るか試す事も出来、これをアレンジして海外にも販路を広げるような要素も組み込んでみました。

2:車両の編成は基本編成として4両+3両を各々1編成、需要とツアー内容に応じて増結する車両として交直流電車を3両1編成製造する。

……先程説明した「実験台」というところから、出来る限り色々なパターンで作っていきたいと考え、あえて編成の車両数を統一することなく色々なタイプを作ってみようという事です。経費はかかるものの、得られる技術や経験は大きなものになるのではないかと思います。

3:車両の基本構成は以下の通り

Aタイプ:先頭車両にパノラマタイプの個室寝台を配置。トワイライトエクスプレスタイプの一人用・二人用個室を中心とした平屋構造の車両と、サンライズタイプの二人用個室に近い部屋配置をした車両、そしてB寝台簡易カルテット車両に近い車両(先頭車両・貫通路あり)で構成。

Bタイプ:サンライズタイプの個室、ミニロビーを追加したトワイライトエクスプレスタイプの平屋構造車両、そしてAタイプと同様のパンラマタイプの個室寝台を配置したもの。

Cタイプ:運転台には両方とも貫通路がある。トワイライトタイプのロビーカーとB寝台簡易カルテットタイプを先頭車両とし、中央の車両はカシオペアで使用されている食堂車とする。

……まぁこれらは完全に「いいところ集め」です。ズブの素人ですから、一から設計をするより、大本のアイディアを次々と借りてくる。大胆かつ横暴な計画ですね。

4:同時に座席を主体とした気動車4両1編成を新造する。この気動車は今回製造した新型夜行列車と協調運転することを可能とした設計とする。また基本C編成に連結している「食堂車」を編成中央に連結する事を可能とした設計とする。

……コレは単に「売れなかった時の保険」です。「気動車4両」というのはイメージとして「ゆふいんの森」だとお考えください。もし実績が合わなければ気動車の中に組み込んで、レジャー列車として再利用してみよう……ということです。逆に運行する距離が短い場合、あえて全部を個室とするのではなく、座席車両を追加し、そこにお客様を誘導すればいいんじゃないかとも思っています。……もちろん、その時は座席を夜間高速バスのようなものにしなくてはいけませんが。

……さて、来週位にこの車両のイメージを私の(ヘタクソな)イラストで表現してみます。ただ出来ればの話ですが。

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2010年5月12日 (水)

スルッとピタパ「ノーラッチ」の旅・急

 

 

 

……まず、結果から申し上げましょう。

「んなものムリ。」

今回この旅を思いついた際、本当にそれが成功するかどうか「ピタパ」のコールセンターさんに連絡をし、果たして実情はどうなのか質問しました。

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まずピタパは「基本的に2社間の乗り入れは対応している」とのこと。3社以上の乗り入れに関してはその鉄道会社間の取り決めによるそうです。

具体的な例を言えば「山陽~神戸高速~阪神本線(阪急神戸本線)」はピタパの開始当時から対応、今回の「阪神なんば線」の開業に合わせて「山陽電車から神戸高速と阪神なんば線を介した近鉄線への乗り入れ」に関しても基本的には対応しているとのこと。

Rw069(改札機の液晶画面)

今回の場合どう考えても想定の範囲外でしたので、当然改札機から外には出ることができません。そのため機械は甲高い音を立て、私の行動を遮断。人がいる改札口まで移動する事を促します。

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改札口でピタパを手渡し、事務所内にあるパソコンで記録されている入場記録を調べてもらいます。その合間に今回のルートをたどたどしく説明し、正規のルート出来た旨を伝えます。流石にややこしいルートですし、こんな事を実行に移す人間はいないと思いますので、事前にパソコンで計算した運賃表を出そうとしたところ……

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そこは流石「おけいはん」。関西一円の駅から浜大津駅までどれくらいの料金がかかるか計算したファイルが出てきたではありませんか!。係員さんの説明によると、京津線のピタパ専用自動改札機は京都市営地下鉄からの乗り入れ客にだけ対応しており、それ以外の清算に関してはこの表から導き出して計算するとのこと。

通常近鉄線からの乗客に対して開かれるであろうそのファイル、今回は「絶対使うこと無いだろう」という「神戸市営地下鉄」と書かれた項目から料金を導きました。

通常の切符であればここで清算するだけでいいのですが、ピタパは出場や入場の記録をカードに記憶させておかないと次回使えないことになっています。また入場の記録は書き込めても出場の記録は(色々とややこしいことがありましたので)改札機で対応しなければいけないようです。

今回の場合、京都市営地下鉄の竹田駅から浜大津駅までの料金(510円)はピタパへ竹田駅の入場データを書き込んでから改札機で処理し、神戸市営地下鉄の三宮駅から竹田駅までの運賃(2340円)は現金で清算することとなりました。

ちなみに駅員さん曰く、「こういうルートで来るお客様は初めて」だったそうです。よかったね、こういうレアケースを体験できて。

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(レアケースといえばこういう特殊な電車にも遭遇しました)

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(というわけで無事改札を出ることが出来ました)

今回あえて長い時間を使って検証する事により、鉄道のネットワークの偉大さや便利さ、そしてエリアの大きさを確認する事が出来ました。下手すれば「キセル」と言われても仕方ありませんが、もし時間とお金があれば今度は「逆打ち」でやってみたいと思います。その時はどうぞ皆様生温かい視線でご支援ください。

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スルっとピタパ「ノーラッチ」の旅・破

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というわけで、まずは神戸市営地下鉄さんの三宮駅へ。ちょうど撮影したのがゴールデンウィークまっただ中の5月4日。いつもとは違う浮かれ気分なこの街を離れ、この日の大半をこれから電車で過ごします。鉄な人間からすればなんて贅沢な一日なのでしょう。

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(シンプルな乗り場への案内と駅の券売機表示、そしてパタパタ)

この駅から滋賀県の浜大津駅まで「ノーラッチ」で行きます。もちろん行先案内版にも券売機の価格表示にも「浜大津」の「は」の文字はありません。その疑問を解消するために堂々とラッチの中へ入っていきます。

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(左:改札機も全部ピタパ対応、右:通り抜けてやっちゃった感一杯)

まずは神戸市営地下鉄さんの三宮駅から新神戸駅を経由して北神急行さんに乗り入れ、谷上駅まで移動します。

Myodani

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(地下鉄なう、ちょと寂しい)

地下鉄なのでトンネルなことは当たり前なのですが、新神戸駅から先は地下鉄ではなく普通の鉄道。ただ景色が変わりませんので「新しい路線に乗っている!」という気分にはなれません。

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……というわけで谷上駅に到着しました。

ちなみにこの谷上駅、元々は神戸電鉄さんに乗り換える、または北神急行さんに乗り換える際は一旦ホームから階段で下りた先にある「中間改札口」を利用しなければいけない構造となっていました。

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(その跡地は何となく判る。地上とホームにもその痕跡がぼんやりある)

現在は隔てていた改札口も無くなり、ホームも広げて同じホーム上で乗り換えることが可能となりました。これだけ乗り継ぎしやすい構造となっているのに、ホームには乗客の姿がありません。寂しい感がいっぱいあります。

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(ちなみに神戸電鉄さんは同一ホームに上下線が停車します。これも便利)

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(アンティークな神戸電鉄。最近こういう電車が好きになった)

さてここからは神戸電鉄さんに乗り換え、電車は次の乗りかえ駅である新開地駅へと向かいます。

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(緑豊かな風景・勾配のきつい線路……ここはハイソな街、神戸市です。)

都会的な谷上駅を抜けると、そこはまるで「神戸市」だとは思えないような緑豊かな風景。しかも電車は電車では考えられないような勾配を登ったり下りたり。これだけでもひとつのアトラクションとして成立するのではないでしょうか。

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途中不覚にも寝入ってしまい、気づいたら新開地駅の一歩手前。また地下線内に入っていました。過去当レルコンでもご紹介した「高速そば」がある新開地駅、この駅もコンコース内に中間改札口がありました。

Rw023(あった事はあったが、もうその痕跡すらない) 

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(どの梅田かきちんと書いているのが神戸高速の特徴)

この駅からいよいよ阪神さんへとバトンタッチします。途中トイレ休憩をはさんで降りるとナイスタイミングで阪神特急が到着。この電車に乗ってまずは阪神三宮駅へ。

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本来ならばこの特急電車に乗って尼崎駅まで移動し、そこで乗り換えた方が早く到着します。ですが西大寺駅方面へ向かう場合、三宮駅始発の快速急行に乗り換えた方が早く到着します。

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(長距離の移動なので座ることにした。三宮で近鉄はまだまだ違和感がある)

快速急行は高い確率で近鉄さんの車両を使用しています。私の中では流れゆく風景と近鉄さんの車両にまだ違和感を感じてしまいます。でもその違和感こそ「線路が繋がったんだ」という証明でしょうか。

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ここからはこの旅一番の長時間乗車です。

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神戸から西宮、尼崎から大阪と過ぎゆく車窓を眺めていたらいつの間にか夢の国へ。どうしてこんなに眠たくなるのだろうと自問自答しつつ、気づけば大阪難波駅。振り向けば名古屋行きのアーバンライナーさんが出発していくところでした。

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電車は東大阪の街中を駆け抜け、生駒山脈を駆け上がります。車窓には大阪平野が広がり、そこの街に建つコンクリートジャングルが文明を感じさせます。こうして見ると大阪も結構都会なんだなぁ……とシミジミしてしまいます。ここ、夜なら夜景が美しいのでしょう。その後「石切さん」でおなじみの石切駅を過ぎると再度長いトンネルが続きます。

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長いトンネルを抜けたその先にあるのは大阪のベッドタウン生駒駅。これで一気に兵庫県と大阪府、そして奈良県をひとつの列車で制覇することに成功しました。ちなみにこの「ノーラッチの旅」、阪神なんば線が開通するまではもうひとつ違うルートが存在していまして、実際に行う場合この「生駒駅」が多いなる課題となっていました。

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上記の阪急線を経由するこのルートでは図面上「けいはんな線」がこの生駒駅で奈良線と繋がっているので、すんなりと移動出来そうに見えます。しかし残念なことにこの生駒駅には「中間改札口」があります。

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「けいはんな線」から奈良線に乗り継ぐ際、どうしてもこの改札口を通ることとなります。制度上この改札口で「途中下車」ということとなるため、どうしてもこの駅から先には進めないということになります。

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(中間改札口ではどのルートが便利かきちんと紹介している)

また「けいはんな線」を利用する事によって運賃が高くなったり、所要時間が延びる事があり、どうしてもこの中間改札口で案内する必要がありました。そのため、他の駅では無くなりつつある中間改札口が生駒駅では残るようになったみたいです。

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しかし今はその障壁はありません。三宮から走ってきた快速急行は心地よい走行音を奏でながら、大和西大寺駅へと到着。

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平城遷都1300年祭、わかりやすく例えれば「せんとくん」がマスコットをやっているイベントの最寄駅として案内されているこの駅、ただでさえ狭いホームに乗客の方々がワンサカ。ここは祭か?と思わせるほど。

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本来ならばこの駅に最近作られた駅ナカ施設の「Time's Place Saidaiji」で休憩を取ろうと思っていましたが、人が多すぎてそれどころではありません。急きょ予定を変更して先を急ぐ事にします。

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(よく考えたら普通電車より優等電車の方が本数多いってどうなんだろ)

大和西大寺駅から丹波橋駅までは近鉄の代名詞「近鉄特急」で移動します。正直、三宮駅からここまで乗車していた快速急行が近鉄電車でしたので、「普通の近鉄電車に飽きた」ところ。15分おきに一本走っている近鉄特急を選ぶのは当然と言ったところでしょうか。

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残席僅かの特急券をホームの券売機で買ったところ、見慣れぬ記号が付随されてました。そう、これが近鉄特急名物の「二階建て電車」のしるし。

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(車内に観葉植物まである!すごいぞ近鉄特急)

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(二階建ての電車に乗ったら天下を取った気分になるのは私だけ?)

有料の電車、しかも一区間だけ乗車するだけで軽くテンションが上がります。それが二階建ての座席だともっとテンションが上がります。いいですねぇ、こんなことでテンションアップできる大人って。

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快適な時間は僅か20分、しかしその間に幾重にも普通車両を追い抜いた近鉄特急を丹波橋駅で下車し、各駅停車を乗り継いでいよいよ洛中へと攻め入る事になります。ここからは同一ホームによる乗り換えが連続します。

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同一ホームでの連絡は時間との勝負です。写真撮影もそこそこに丹波橋駅から各駅停車で竹田駅、竹田駅からは京都市営地下鉄さんに乗り換えます。

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(烏丸線の車内。軽くデジャブ―)

竹田駅から乗った京都市営地下鉄烏丸線は近鉄電車の車両でした。30分前まで乗っていた車両とほぼ同じ景色が目の前に広がります。……これぞ近鉄電車マジックといったとろでしょうか。

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(烏丸御池・御陵:もう疲れがピーク)

竹田駅から烏丸御池駅まで烏丸線で、烏丸御池駅から御陵駅まで東西線の車両で移動します。京都市役所前で乗り換えようと思ったのですが、どうせならと本来の乗り換え駅である「御陵駅」まで先回りです。多種多様の電車を楽しみたい!という私のわがままでもあります。

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(疲れると写真がどうしても上手に撮れないワケで)

御陵駅からは京阪電車さんの京津線へ。ここは「電車が走る風景」でご紹介したので詳しいことは割愛しますが、地下鉄から登山電車、極端なカーブをすり抜けた先に現れる併用軌道といった風景はテーマパークのアトラクションとしても成立する位の強烈なコンテンツです。

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(そんなこんなで浜大津駅、二府三県完全制覇ナリ)

浜大津駅に到着したのは16時。4時間近く私は電車に揺られていたということになります。過去長距離列車等で長い時間揺られていたということはありましたが、今回のように幾度となく乗り換えをする乗り継ぎは初めてでした。ただ今回は「ピタパがきちんと計算してくれるかどうか」という疑問を解消するべく始めた旅。

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果たして計算してくれるのか否か。その答えはこの改札口が知っている、私は改札口までエスカレーターで上がり、そして青に輝く筺体にピタパを、そっと静かに置いた。

 

結果はこちらをクリック。

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スルッとピタパ「ノーラッチ」の旅・序

 先々月、引越の直後に私がメインに使っているクレジットカードの更新カードが届きました。それに遅れる事約一カ月、ようやくPiTaPa(ピタパ)カードが私の手元に届きました。

Rw001 (手前が新しいICカード)

ピタパは他のIC乗車券と違って、原則「クレジットカード」の後払いとなっています。その審査や手続きの煩雑さが遠因してか、他のIC乗車券と比べると普及率はちょっと低めだったりします。それでも使い慣れるとなかなかPiTaPaも侮れません。

Rw002 (パンフレット)

その届いたピタパに同封されていたパンフレットを見ていて、あるページに目線が止まりました。

Rw003 (エリア地図)

ピタパが使えるエリアの地図。ピタパは関西二府四県だけでなく三重県や愛知県、岡山県や静岡県にまでエリアを拡大しています。こういうのは頭で理解していても、実際に地図で見るとピタパも頑張っているんだなぁ……としみじみ感じてしまします。

Gin01(在りし日の阪神電車)

関西の方ならご存知かと思いますが、一昨年に開業した「阪神なんば線」によって関西の公共交通機関は一段と便利になりました。阪神地域から古都奈良へ乗り換えすることなく移動できるという手段は新たな需要と人の流れを生み出しました。

Rw003(改めて地図を確認)

同時に遠く山陽電車姫路駅から、近鉄電車名古屋駅・伊勢志摩方面までの長大な路線が一本のレールで物理的に繋がりました。これを利用して近鉄電車さんは姫路駅から伊勢方面への特急列車を走らせる計画があるそうです。実現できる可能性は低いかと思いますが、鉄道ファンとしてそういう列車は一度見てみたいものです。

ただこの「阪神なんば線」によって、あるひとつの「試したくても試せない」という試みが完成してしまいました。その試みというのは「ノーラッチの旅」です。

Rc467 (改札口の例:新大阪駅)

「ラッチ」は元々英語の「留め金」という言葉なのですが、鉄道業界では「改札」のことを指します。「ノーラッチ」を直訳すれば、「改札が無い」。そこから転じて「改札を出ることなく異なる鉄道会社を利用することができる」という意味を指します。

阪神電車さんは西は元町駅で神戸高速鉄道さん、東は大阪難波駅で近鉄電車さんと「ノーラッチ」で繋がっています。この両社とも阪神電車さんとは違う会社と「ノーラッチ」で繋がっており、それらを全て繋ぎ合せるとこういう一本の路線が組みあがります。

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神戸市営地下鉄さんの三宮駅から京阪電車京津線の浜大津駅まで利用鉄道事業者数8社局、総移動距離135.5キロメートルという前代未聞のこのルート、全て「ピタパ」が使えます。……果たして私のピタパはこの長距離を把握し、走破する(つまり計算する)ことができるのか?

 

 

……疑問を感じたからには解決するしかありません。

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