盛者必衰の理(ことわり)を表すというのは昔からの慣わしみたいなものでして、いいものが発明されるとなると、今までのモノをアッサリと斬り捨ててしまう。世知辛いといえば世知辛いものでございます。鉄道の世界でも革新的な技術が作り出されると一瞬のうちに広まっていきます。『昔はよかった』と呟いてみても後の祭り。それでも立ち止まっていてはいけません。今回はこの『レールウェイコンシェルジュ』で取り上げた事項の中で変わっていったもの、評判があったものにスポットを当ててみます。…ま、簡単にいえば総集編です。本当なら新しい記事を予定していたのですが、それが予想以上に時間が掛かっちゃったため…でございます。なので今回はお気楽にご覧いただければ幸いです。
まずは阪急梅田駅の『ビフォーアフター』。
関西を代表するターミナルというだけあって、過去幾度と無く登場しているこの駅。検索エンジンからやってくる人々の大半が『パタパタを愛でる』の中で取り上げた『ラガールビジョン』だったりします。別の件で取材する為に阪急梅田駅を利用したところ神戸線と宝塚線だけ…
…3色LEDに変わっておりました。ウィキペディアによると『ラガールビジョンが劣化した為に変更した』とのこと。確かに現在使用されている3色LEDに比べると若干見にくい部分はあるかもしれません。でもこれで<普通の>パタパタになってしまったなぁ…という感が否めないのは私だけでしょうか。
次に電車の車内の『ビフォーアフター』。
2005年に難燃性の基準が改正され、従来の樹脂製カバーをつけることができなくなったというのは以前『天井コレクション』の中でも説明させて頂きました。その結果JR西日本の321系ではグラスファイバーを用いたものを使用したり、阪急の9300系・9000系のように間接照明にして対応したりしています。
(阪急9300系車内の天井。間接照明が室内を柔らかく照らしている)
その一方、蛍光灯カバーを止めてしまった会社も存在しています。その代表格が近鉄電車のシリーズ21。元々2000年から増備していた車両には他の天井の部品と強調するような蛍光灯カバーが設置されていました。この蛍光灯カバーも前出の改正と共に新規製造された車両からは撤廃されてしまいました…が、そこはあのJR九州の車両を作っている近鉄グループの近畿車輛。
(左:蛍光灯カバーの無いシリーズ21車内、右:JR九州813系車内)
…どうでしょうか。813系で形にしたデザインを上手に発展させているではありませんか。照明の蛍光灯を機器の都合で一つ一つ点在させて設置するのではなく、連続したデザインを施して対応しています。蛍光灯の特徴的な形状を見事に生かしきったデザインとなっています。ウィキペディアにて『蛍光灯カバーを設置していない』という記載があった際、ちょっと不吉な感じがしましたが、これはこれで見事!というデザインに仕上がっています。
最後に『つながり』に関した『ビフォーアフター』。
当『レールウェイコンシェルジュ』はブログという形式で発表しております。ブログである以上、「コメント」や「トラックバック」等の機能を生かした双方向性を保たないといけない…とは思うのですが、諸般の事情によりその機能は設置しておりません。またご意見ご感想をお届け頂く際は『mixi経由で』という特殊なやり方で行っておりました。先日あるmixiユーザー様から
「mixiユーザーでなければ(レールウェイコンシェルジュに)意見することが出来ないのか」
というご意見を頂戴いたしました。大変貴重なご意見を頂いたことに感謝いたしますと共に、mixiユーザーではない方々にご不便をお掛けしておりましたことを深くお詫び申し上げます。その事を鑑みまして、この度新たなる連絡先としてYahoo!のメールシステムを利用することに致しました。アドレスは
です。画像で処理しておりますのでお手数ですが書き起こして頂きますようお願い申し上げます(プロフィールページには画像処理していないアドレスが記載されております。そちらも説明に沿ってお送りいただければ幸いです)。
・・・で、肝心なのはここから。mixiユーザーの方から先週発表しました『キミとボクをつばくもの』に関して大変興味深いメッセージを頂戴いたしました。この回で私は『自動連結器』と『密着自動連結器』の違いについてあまり説明をしておりませんでした。これは「デイリーポータルZ」内のコンテンツ『コネタ道場』にてライターの石原様より「余分なところを削って簡潔に読ませるテクニックも必要」というアドバイスを元に書き記したために起こってしまったものでございます。これも全て私の不徳の致すところでございます。今回頂いたメッセージを元と致しまして、改めて『自動連結器』と『密着自動連結器』の違いについてご説明を申し上げます。
(また出番です。)
『自動連結器』には「遊び」があるために、発車時に衝撃を受ける…とご説明いたしました。この「遊び」、何も不都合な点ばかりではなかったそうです。この「遊び」があるため出発時の機関車に負担が掛からなくなるんだそうです。確かに止まっているものを一斉に動かそうとするのは大変です。この「遊び」があることで、徐々に機関車に負荷が掛かり、機関車への負担が少なくなる…そうです。確かに私みたいな体型の人間が急に動いた時、ヒザや関節に大変な負担がかかります。ソレと同じこと…でしょうか。
(これくらい間が開いたら徐々に動かせる。)
一方の『密着自動連結器』、現在では客車などに多く使われているこの連結器、性能が向上した機関車が牽引することを前提として設置されたそうです。
(交通科学博物館に保存されている20系客車の食堂車、連結器が密着自連)
交通科学博物館などに展示されている蒸気機関車や古い客車には普通の『自動連結器』が取り付けられています。一方で長大編成を組んでいた20系などのブルートレインには『密着自動連結器』が取り付けられています。一気に動かすことができるから設置されるようになった…これぞ技術の進歩というものでしょうか。
(一気に動かすイメージ)
技術の進歩があったからこそ、『密着自動連結器』というものが採用されるようになったんですね。いやはや改めて鉄道の奥の深さを知った次第です。
…さて、皆様に鼻で笑っていただけるようなコンテンツを目指して右往左往しております『レールウェイコンシェルジュ』、皆様のご期待に添えますようこれからも誠心誠意精進してまいります。今後とも宜しくお願い申し上げます。