ポケットの中の鉄道
普段何気なく見ているものでも、取り上げてみると結構深いネタになることがある。今回は皆さんも知っているであろう、あの配布物のお話です。
その名はポケット時刻表。
ちょっと大きな駅の改札口や切符売り場の片隅にコッソリと置かれているシャイなアンチクショウ、それがポケット時刻表です。これに各鉄道会社の考えが如実に出ています。
例えば新幹線の場合。
(左:JR西日本のポケット時刻表、右:JR東海のポケット時刻表)
今年の3月に九州新幹線が開業しました。これによって東京から鹿児島まで一本のレールで繋がったのですが、運行形態は各々の新幹線によって大きく異なります。その側面が各鉄道会社のポケット時刻表に出ていたりします。
東海道新幹線を所有しているJR東海さんの場合、自社車両が乗り入れる東京駅から博多駅までのダイヤしか書かれていません。紙は丈夫なタイプを使用し、中には英語での表記も追加。そして大きな特徴は表1と表4(表表紙と裏表紙)が天地逆になっているということ。これによってダイヤの混同を物理的に避けています。このアイディアはすごいです。
一方のJR西日本さんの場合、東京駅から鹿児島中央駅間までガッチリ書かれています。耐久性とコストの両立を考慮したのか最初の2ページだけ丈夫なタイプ、それ以降は新聞紙っぽい紙を使用しています。そして若干こちらの方が広告が多いのが特徴です。
(こういう地道な宣伝活動が売り上げに繋がるのだろう)
新幹線は日本各地に広がっていますから、どうしてもこういう時刻表形式のものでなければならないのでしょう。しかし、我々が一番よく見るポケット時刻表といえば、その駅の時刻表に特化したものではないでしょうか。
(この後この時刻表がえらいことになる)
携帯電話やパソコンで調べれば一発で乗り換え案内が出る昨今でも、やっぱりこういう印刷物が手元にあると安心するというもの。今回私は各鉄道会社が発行しているポケット時刻表を移動する際にちょびちょびとゲット。ちょっと比較してみましょう。
ちなみに集めたものは「JR西日本、京都市営地下鉄、近鉄、阪神、大阪市営地下鉄、京阪」の以上6社局。これだけでいったいどういう行動範囲なのかがバレるってなもんだ。
いちばん基礎的なものがJR西日本さんのポケット時刻表です。その駅の発車時刻と行先が色と記号によって分かれています。平日用と土曜・日曜日用のダイヤが上り下り別に掲載されています。
ただJR西日本さんは支社や路線が違うとちょっとずつ変わっています。大阪支社管轄下の大阪駅は白地に青文字、一方の京都支社管轄下の京都駅は茶色地に青文字。北新地駅に乗り入れるJR東西線の乗り換え駅である京橋駅は青地に白文字。ここあたりに個性を求めたのだろう、と私は推測します。
どうでもいいコネタではあるけれど、大阪駅のポケット時刻表は関西近辺の列車だけでなく、サンダーバード等の昼行特急や東北方面や東京方面へ向かう寝台特急の出発時刻まで書かれています。コレって必要なのでしょうか。
(阪神岩屋駅と梅田駅。梅田駅はターミナル駅なので項目がひとつ少ない)
サイズが違うと言えば、その駅の規模や構造によってもポケット時刻表のサイズは変わってきます。ターミナル駅(いわゆる終着駅)は一方向しか出ないから短め、多方面へと向かう列車が多い駅は必然的に大きくなります。
その逆を行くのが近鉄さん。ターミナル駅である京都駅と、その中間駅である近鉄丹波橋駅のポケット時刻表を比較するとなんと同じサイズ。こういうところでも地味に経費を削減しています。
方や公営の地下鉄さんは変えているのかなぁと思い比較してみると、京都市営地下鉄さんのデザインがスゴい。大阪市営地下鉄さんは地味ながらも色合いで行先を分別しているタイプ。コレはコレで基本に忠実なデザインになっています。
京都市営地下鉄さんは二色刷りで経費削減しながらもインパクトが強いデザイン、そして掟破りの2駅合同。経費削減を表しているのでなかなかではないでしょうか。
……さて、ここまで説明した中で『あの』鉄道会社さんが出ていませんね。そう、いよいよ本命の登場です。
ただでさえ存在そのものがネタになるという「京阪」。言いたくはないが社訓に【本末転倒の心意気】と掲げられているのではないかと疑問符を打ちたくなる愛すべき鉄道会社、通称「おけいはん」。当ブログでも
「ネタが無いからといって、京阪ばかりいじるのはやめよう」
と、思わず躊躇してしまう位ネタの宝庫。最初に掲載された写真をもう一度ご覧頂こう。
この表紙の鉄道車両、良く見ると後ろの車両に掲示されている行先も判読できる。誰がこんな細かいところまで見るというのだろう。
(左:特急淀屋橋行き、右:準急中之島行きの掲示)
これだけでなく主要駅の電話番号やケータイ用のQRコード、列車の停車駅等色々フルカラーで印刷している。これだけでもスゴイ費用だけれど問題はその大きさ。

(比較してみるとこれ位違う)
ターミナル駅のサイズが25.6センチ。これでも結構な大きさなのに通常の駅になると38.4センチ、宇治線や交野線に乗り換える枚方市駅や中書島駅になると44.7センチにもなります。これはすごいことです。
もちろん折り畳むことが前提なので、使用する際にはサイズが小さくなります。だからといって長かろうが短かろうが特段突っ込むことありません。しかし正直ダイヤより空白の方が多い駅も多いわけです。形式美を整えたのかはよく分からないけれど、とにかくこれだけ見ると【本末転倒】っぷりだけはよくわかります。
でも、数字だけ見ても【本末転倒】っぷりはよくわかりません。どれだけ本末転倒なのか実際に証明してみないといけません。もちろん、これよりももっと本末転倒な事をしないと注目されません。そこで考えました。
京阪線全部のポケット時刻表を全て繋いだらどれぐらいの長さになるのか。

……というわけで、京阪電車さんのポケット時刻表を全駅集めてみました。
(地味すぎるのでこれ以外の写真は撮影しなかった)
これを一枚一枚折り畳んだ後、セロテープで固定して一枚に繋げてみてどれだけの長さになるか実際に検証します。そして出来上がったのがこちらの束。

(嘘だと言ってよおけいはん)
(高さは余裕の6センチ越え、もちろんポケットからはみ出す勢い)
ポケットの枠を飛び越えてもはや伝説になろうとしているこの「ポケット時刻表」、計算上はどれだけの長さになるかわかりますが、どうせならわかりやすく表現してみたいと思い、あの場所へ行ってきました。
時は2011年10月16日、場所は京阪寝屋川市駅から歩くこと15分。最寄りのバス停には「電鉄車庫」という名称がつけられたあの場所で開催された鉄道のイベント……。

その名は「京阪ファミリーレールフェア!」……そう、毎年京阪さんが開催している鉄道ファンむけのイベントでございます。
会場内には多種多様の京阪さんの車両が鎮座しており、その中には「びわこ号」なる車両も展示されております。もう鉄な人間からすると嬉しい悲鳴だらけ。それもいいのですが今回は計測がメイン。その計測にふさわしい車両を会場で発見しました。
無料の休憩所として開放されていた京阪を代表する特急車両の8000系。クロスシートという利点を生かし御家族連れが仲良く休憩できるそんな場所で「あの」ポケット時刻表を広げてみることに。
列車の端にポケット時刻表の端をセット、ずいずいと広げていきます。そうすると驚くべき結果が判りました。

まさかの1両超え!京阪電車の車両は一両あたり18メートル、そこまで大きく並んだろうと思っていましたが、まさかまさかの大記録樹立であります。実際にこの目で見るとインパクト大です。
(面白いのでもう一枚掲載)
ちなみに京阪線の60駅分のポケット時刻表を全部繋げると22メートルちょっと、近鉄線で計算すると121駅分、京都市営地下鉄だと258駅分に相当します。こうなると京阪さんには「何処までポケット時刻表を大きくできるのか」という記録に挑戦して頂きたくなります。
とはいえ、こういうあまり人が気付かない場所にもお金をかける京阪電車さんを当ブログはこれからも応援していきます。がんばれ、京阪電車。負けるな京阪電車。

……それにしても、コレどうしましょう。
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