昭和町の詩
4月29日は「昭和の日」です。
祝日、ゴールデンウィークの初日だというのに何でしょう、この無常観は。テレビを付けると芸人さんが「笑われて」赤い絨毯の上を左から右へ移動、新聞を見るとウイルスだ、事故だ、横領だと悲しいニュースばかりが飛び込んできます。
「昭和の日」。私が生まれたのはまだ元号が昭和でした。未来には希望があると言われていたあの時代、歌の文句ではありませんがあの頃の未来はどこに行ったのでしょう。今や平成生まれが成人式を迎えようとしている昨今、何故か昭和という言葉にノスタルジィ以上の懐かしさを感じてしまうのは私だけでしょうか。
…そうだ、昭和に行こう。
(移動前に気合を入れてファイト一発!)
そうと決まれば後は行動に移すのみ。私は即座に大阪環状線、御堂筋線と軽やかなステップで乗り込み、あの駅を目指しました。
今回のお目当ての場所はその名もズバリ「昭和町駅」。
ちなみに「昭和町」という駅は大阪市営地下鉄さんの他にJR四国さんの高徳線、名古屋臨海鉄道さんにもあります。ただしJR四国さんは無人駅、かたや名古屋臨海鉄道さんは工場の中にある貨物駅で現在定期ダイヤで設定されている貨物列車はありません。
大阪市営地下鉄さんの「昭和町駅」は、天王寺駅から一駅なかもず駅側に移動した場所にあります。ここならば昭和を思う存分感じられるに違いありません。
昭和26年に開業したこの駅は、大阪市営地下鉄の駅構造としては簡略化されたものになっています。大きなコンコースやきっぷ売り場は併設されておらず、どことなく大手私鉄の各駅停車しか止まらない駅っぽい雰囲気。
駅構内にはその狭さから後に付けられた設備のパイプがむき出し。これも昭和の雰囲気を漂わせる重要なアイテムとなっています。
…どうでもいい話ですが、こういう「町の散策」をする場合私は下調べを一切しません。新鮮な驚きを大事にしたい…。まぁ簡単に言えば「面倒」なんですが、とにかく行ってみることで何とかなる。それが私のやり方です。
改札口から階段を出ると目の前にはあびこ筋と松虫通の交差点。このあびこ筋の下を御堂筋線が走っています。聞くところによると一時期このあびこ筋は道路が無く、地下鉄が側溝の中を走っているような感じだったとか。
その昭和町駅から一歩路地に入ろうとすると、何やら賑やかな声が聞こえます。
やはりというのか意外というのか、「昭和の日」にちなんで昭和町一帯で「どっぷり昭和町」なるイベントが開催されていました。そのイベントの中心となっていたのが「寺西長屋」と呼ばれる建物。
昭和8年に建てられたこの長屋は、日本初の重要文化財の長屋として登録されているそうで、現在住居ではなく飲食店などの店舗として活用されています。その場所の2階からライブハウスのような演奏が聞こえ、建物の前にある路地にはその演奏を楽しもうと鈴なりの人だかりが。
そうか、これが昭和か。
でも、それは昭和よりも前じゃないのか。
雅楽だぞ、雅楽。
…しかしながら混沌としたムーブメントを組み込んでいったのも平成ではなく昭和。これはコレでアリでしょう。しかもその音楽を聴いている人たちの目がすごく輝いている。いいなぁ、コレ。
(イベントは町内一帯で行われていた)
寺西長屋から少し西へ移動した先にある小さな公園。ここも今回の昭和町のイベントに活用されていました。
公園の中には紙芝居、そして近くの路地では楽団が出て演奏を始めています。
曲目は「カントリー・ロード」。決して上手いとは言えない歌声が奏でるいくつかのフレーズが、何度も何度も繰り返し路地に響いていきます。
「カントリー・ロード」の原詞と日本語訳の詞が全く違う表現をしている、時に日本語訳は悲しすぎるという意見も見受けられます。
でもこの昭和町で聞く限りだとソレでいいのかもしれません。昨日見た故郷は今日見た故郷とどこか違う。たとえ地名や番地、時間や天候、人や空気が同じであっても、故郷はどこか気づかない場所で変化しています。
「あの頃」の未来は確かにありました。それも「あの頃」にです。思っていた未来と違うように、過去も私の記憶の中でどこか違うものになっているのではないか…。
昭和町は私に「昔」の考え方を教えてくれました。ありがとう、昭和町。
<オマケ>
今回のイベントを開催してくれた人から「ブログに乗せるのならリンクしてくださいよ」と言われました。コチラからどうぞ。
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