« 想い出にかわるまで | トップページ | 新しい新幹線の名前を妄想してみた »

2008年10月15日 (水)

月光に向かって走るあの列車を見送ろう

  10月です。神無月です。レルコンを長い間ご覧になられている方ならお分かりかと思いますが、また一つ年を取りました。

「おめでとう、オレ」

「ありがとう、オレ」

…というわけで、今年も自分で自分をお祝いします。ええ、ものすごく強がりです。

さてお祝いするとしても何をすればいいのか。私自身物欲や金銭欲、性欲や独占欲といった欲望が殆ど無い人間なのでこういう時どう自分自身を祝えばいいのかが困ってしまいます。ただ今回は違いました。誕生日を迎える数日前に

「寝台特急『富士』『はやぶさ』が来年3月で廃止」

というニュースが飛び込んできました。残念なニュースではありますが、誕生日前にこのニュースが飛び込んできたというのは何かの縁。残り少ない彼らの活躍をこの目に焼き付け、それを今年の誕生日プレゼントしよう。今回はその一部始終をご覧戴きます。

2008yako01

(これが寝台特急のマーク。デラかっちょいい。)

 その前に「ブルートレイン」をご説明申し上げます。高度成長時の1958年に夜行列車専用車両として製造された20系客車。この客車の車体は青一色に統一され、その姿が美しいところから「夜行列車」=「ブルートレイン」という図式になったようです。

2008yako03a

(ブルートレインの写真を探したら約10年前の写真しかなかった)

私が子供の頃はブルトレブームがあり、鉄道雑誌を見ては「ブルートレイン、かっこいいなぁ」なんて思っていたものです。その後生活様式の変化や車両自体の老朽化等様々な要因が重なり「ブルートレイン」は次々と廃止され、寝台車両のみで構成される夜行列車は10本に満たない状況となりました。

2008yako04 2008yako05

(左:東へ向かう優等列車の時刻表、右:西へ向かう優等列車の時刻表)

 来年の3月に廃止になる「富士」と「はやぶさ」は東京と大分・熊本を結ぶ通称「九州ブルトレ」であり、現在東京から九州方面へと走る唯一の寝台特急です。20系客車を使った夜行特急が設定された当初は京阪神地区を深夜に通過するダイヤでしたが、現在は九州方面へ向かう列車のみ京都駅と大阪駅に停車しています。

2008yako023

(23時頃の大阪駅コンコース)

 「富士」と「はやぶさ」が東京駅を発車するのは18時3分。スピードを出せない寝台客車ですので、大阪着が次の日の1時。テレビ業界でいうところの25時、つまりはド深夜になるというわけです。そんな時間だとよい子は眠っているでしょうし、恨みを晴らしたい人はそろそろ五寸釘と藁人形を抱えて神社へ移動を開始していると思われます。自宅から大阪駅は意外と距離があります。私は大阪駅近くの格安ホテルに寝床を確保し、深夜の大阪駅へと出向きました。

2008yako03 2008yako02

(左:パタパタには夜行列車しか並んでいない。右:桜橋口のバスターミナル)

新幹線の最終も出て、急いで帰宅する人々が多い23時の大阪駅。桜橋口の真横にあるバスターミナルでは各地域に発着する夜行バスが次々と発着していきます。深夜の移動という需要を満たしているのは残念ながら列車よりもバスになってしまいました。…とはいえ夜行列車は数が少なくなっていてもまだまだ運行しています。「富士」と「はやぶさ」を見送る前にホームに上がって見てみましょう。

2008yako06

(駅構内に入るには入場券が必要なので購入)

まずは北陸方面と新潟を結ぶ急行「きたぐに」。

2008yako01b

(フラッシュ撮影厳禁なので映像からトリミングしました)

夜は寝台、昼は座席に変えることができるという特殊な客室構造を持った583系が「きたぐに」には使用されています。

2008yako07 2008yako08_2

(左:寝台をセットした車両。窓の上にある丸は寝台時に使う窓。右:座席状態の車両)

その特殊な構造故に一方には寝台、もう一方には座席という使い方をしています。大阪駅から滋賀県へ向かう最終列車の意味合いもあるのか、シーズンオフなのに結構な乗車率となっています。

2008yako09

(入場券は発売から約2時間までなので新たに購入)

2008yako025 2008yako026

(夜行列車が運行しているのでみどりの窓口は営業中。でもモニターの表示は終了)

次にやって来たのが東京へ向かう寝台特急「サンライズ瀬戸・サンライズ出雲」。

2008yako01a

(こちらも映像をトリミングしました)

東京行きの最終列車ということもあってか、結構大阪駅から乗車される方が多いのが印象的です。私も何回か利用させて頂いてますが、寝ころびながら朝早くに東京へ到着できて結構便利です。

2008yako010 2008yako011

(「サンライズ」は厳密に言うと寝台特急ではありません。編成中央に「ノビノビ座席」というカーペットが敷かれた部屋があるため。運賃+特急指定席料金で乗れるのでここは便利です)

 

サンライズ瀬戸・出雲を見送り、ここからいよいよ本番です。

 

2008yako015

(誰もいないホーム)

サンライズが出てから約10分後関西地域の最終列車も次々と出発し、駅から人が次々と去っていきます。

2008yako012 2008yako013

来る列車は全て大阪止まり。降りる乗客は黙々と改札口へと向かいます。

2008yako0a

乗客がいなくなる一方、ホームには大阪駅の改造に伴う工事関係者が次々と現れました。新しい駅ビルの工事も始まり、いよいよ部外者という立場が明確になってきた感じがします。

2008yako017

2008yako018

2008yako020

コンコースには誰もいなくなりました。普段は人で溢れかえる大阪駅も、こんな時間があったのかと思えるほど。静寂だけが駅に佇んでいます。

2008yako016

(傍目から見ると猛烈に寂しい人)

大阪駅に私は独りぼっち。はた目から見ると深夜の駅で何をやっているんだろうと怪しさ満載です。そこに追い打ちをかけるアナウンスが構内に響き渡ります。

『本日の運転は終了しました。お降りのお客様は改札口までお越しください。シャッターを閉めます』

深夜とは思えないボリュームでホームに響きます。そして私が見送ろうとしたホームにも改めてアナウンスが。

『間もなくシャッターを閉めます。改札口までお越しください』

明らかにこのアナウンスは私向けのもの。私はその言葉を素直に受け入れ、改札口に向かうことにしました。

2008yako019 (憮然)

…今回は見送ることを断念せざるを得ない状態となりました。まだ3月まで時間はあることですし、その際は実際に大阪駅から乗って最後のブルトレを味わおうかと考えております。まぁ誕生日の目的としては成立しませんでしたが、それ以上の興奮を味わえただけでもヨシとしますか。

2008yako0b(こういう表示はある意味絶望を表しているよね)

 

 

<オマケ>

2008yako022

(「シャッターを閉める」と言っていたアナウンスは本当だった。改札口を出て正直焦る)

|

« 想い出にかわるまで | トップページ | 新しい新幹線の名前を妄想してみた »