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2007年9月28日 (金)

ドアマン達の挽歌

 前回アレだけ立派なことを言ってしまったので、ちょっと今回は『戸閉め』を検証してみましょう。まずはちょっと重たくなってしまいますが、先日大阪市内に出向いた際に撮影した各鉄道会社が扉を閉める際運転手が行っている動画をご覧頂きます。まず最初は私がお世話になっている京阪電車さん。

続いては阪急電車さん。こちらはぎっくり腰を癒すために温泉へ向かった際に撮影しました。客室から改めて見る運転士さんの行動、実に頼もしいです。

どちらしかし今回事故を発生させてしまった南海電車さんの運転士さんは戸閉め時こういう対応をしています。

このように南海電車では確認しておりません。新聞記事によりますと駅構内が急カーブになっている5つの駅を除いて確認はしないそうです。そういえば今回この映像を撮影した新今宮駅構内の線路は直線でした。また駅員さんが配置されていたこともあって何もしていないのでしょう。

しかしその一方、駅員さんがホームに配置されていて駅構造も新今宮駅と似通っている近鉄電車さんの鶴橋駅では運転士さんがきちんと目視で確認しています。

どうしてこのような違いが出てきたのでしょうか。私はここにひとつの「推測」を立てることにしました。その推測を御説明する前に、JR西日本さんの戸閉め時の対応をご覧下さい。

場内の信号が出発進行になったことを認識する指差し確認のみで出発していきました。今回新今宮駅で撮影しましたが、今まで他の路線を利用していた際の事を思い出しても運転士さんが目視で戸閉め確認することはありませんでした。これだけを単体で見ると『安全確認もしないのか!』とお怒りになられる方も多いかと思います。しかし、これには確認する鉄道会社と確認しない鉄道会社の『発祥』が違っているからではないかと思うのです。

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南海電車さんは『日本で民間資本で開業した鉄道』の中では最も歴史がある鉄道会社だということは意外と知られていません。他の鉄道会社が鉄道国有法や鉄道敷設法、国家総動員法による強制買収などを経て次々と廃業していく中、なんとか会社として存続しました(注1)。この設立当初からインターシティ、つまり都市間の輸送を南海電車さんは目標として掲げていました。

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また初めから全路線が電化されていたのではなく、当初は蒸気機関車が客車を牽引して運行していたという点。運転士が蒸気機関車を操作することに全力を注ぐ必要性があったため、乗降客の管理と安全確認は車掌に一任していたようです。都市間の運用のためそれほどその結果運転手さんと車掌さんの担当を完全に分担させてしまい、運転士さんが戸閉め時に常時後方確認することを設定しなかったのではないか。

また、前出のとおり駅構内に急カーブがあまりないというのも後方確認しない理由のひとつではないかと思われます。京阪さんや阪急さん、近鉄さんは南海電車さんのように都市間輸送ではなく都市圏の輸送に対応するような設定で作られていました。

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(左・右:京阪電鉄御殿山駅、ホームと電車の間が離れている注意書きがある)

都市圏輸送の場合、どうしても街に沿って線路を敷設しなければいけません。また都市圏輸送の場合当初用意されたのは現代でいうところの『路面電車』。今ほど高性能な電車ではありません。またそれほど速度を要求されなかったということもあり、敷設された線路は必然的にカーブが多くなり、駅もカーブに設置されるケースが多くなった。その為阪急電車さんや京阪電車さんは車掌さんが全体を見渡すには限界があるので運転士さんも確認するようになったのではないか。また近鉄電車さんも元々は小さな車両で運行しており、その頃の名残として運転士さんが後方を確認するようになったのではないか…と私は推測します。

駅構内の線路が曲線で見えにくかったとはいえ、事故を起こした事実は変えることが出来ません。当面の間萩原天神駅にはホームに駅員さんが常駐するということですが、今後こういう事故が発生しないよう南海電車さんにはお願いしたいと思います。

 

(注1:南海電気鉄道は第2次世界大戦中「近畿日本鉄道」として現在の近鉄さんと合併していたことがあります。)

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