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2007年4月20日 (金)

YouがLonelyならここにINしちゃいなよ

 この頃『レールウェイコンシェルジュ』を始める『きっかけ』を最近よく聞かれるようになりました。色々と複雑な事情が沢山あって話すと結構な文字数になります。ただ端的に申し上げますとやはりこの座席を見たからではないでしょうか。

200605171544001_1(反省を活かし大きくしてみました)

最初にこの座席を見た時、直感で『ああ、コレは面白いネタになるな』と思いました。ましてや調べてみると次々と面白く、人に伝えてみたい事柄が次々と出てきたのです。そこで以前『@nifty温泉』さんで使用していたココログのシステムを使って発表してみました。それが「京阪電車・匠の技」という項目だったのです。

このネタを『デイリーポータルZ』さんの中にある『コネタ道場』さんに投稿してみたところ、運良く入選してしまいました。そのことがキッカケとなり、鉄道の『面白さ』というのをあまり理解されないようなマニア的な視点ではなく、普通に生活している人が「それ、面白い」と言われる情報をお届けしていくことを考えるようになりました。その試行錯誤の結果、今日までいたることとなったのです。

 現在『コネタ道場』の道場主様からは「黒帯リーチ」といわれております。今回は一回目の採用作品である『京阪電車・匠の技』を発展させた視点で色々とお伝えしてまいります。どうぞ最後までごゆっくりお楽しみください。

 

 

 さて、『京阪電車・匠の技』という項目が入選した際、道場主の石原様は私の投稿に対してこういう一文を添えて説明してくださいました。

>何はともああれ、お1人様用シートがかわいかったので入選! 群れるのがキライな人はここに座るといいよ。

…確かにアレはかわいいかもしれません。実際に群れることが苦手な私もあの座席は大好きです(ただ狭すぎて脱出できない可能性がありますので座ることは致しませんが)。ただこの頃はこういった『一人だけ』になれるスペースというのが鉄道の中にも多く設けられるようになりました。例えば関空快速・紀州路快速で使用されている223系。

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この車両、元々関西空港へ向かう乗客向けの運用を前提としているために車両のいたるところに海外へ向かう方々が楽なように設計されています。それが一番よくわかるのが座席です。

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(新しく導入された223系2500番台も同じ座席配置)

一人用の座席がズラリと並んでいます。もちろん個人向け、一人になりたい人向けという座席ではなく、元々は大型のトランクをこの横に置けるように設計されたものだったようです。現在では当初設置されていたトランクを拘束するバンドも外され、単に一人がけ用の座席としての存在ではありますが、でも孤独を愛するような人には最適ではないかと。

 その一方で、鉄道会社が意図していなかったものの、思わぬ形で一人になれるスペースというのも鉄道の中には存在しています。例えば近鉄電車さん。

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近鉄電車さんは需要と供給に応じて車両編成を細かに変えていくやり方を行っています。そのため運転席が付いている先頭車両の両数が多く、それらを連結していくと必然的に常務スペースの空間が空いてしまいます。その空けられた空間が「ひとりになれる」ということで結構大人気だったりします。コレと同じようなことは近鉄だけでなく、支線を所有している他の鉄道会社にもちょこちょこ見受けられます。

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阪急電車さんの場合、宝塚・神戸・京都本線とそれ以外の路線ではホームの有効幅(何両止められるかどうか)が違います。本線用の車両と支線用の車両を明確に分けることが出来ればいいのですが、そうするとなると無駄というのが結構発生してしまいます。

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突発的な支線への運用や何らかの原因による車両運用の変更などを考え、一部車両には運転台を残して連結しています。運転台が残っている大抵の車両は運転席側を車両の扉によって封鎖し、車掌側を開放。そこが「一人になれる」スペースとなっています。例えるとするならば『CDのボーナストラック』的な個人スペースといったカンジでしょうか。

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(左:阪急電車の乗務スペース、右:近鉄電車の乗務スペース)

…ただ元々は業務用ということもあって、このスペースには元来我々の様な一般の人間が本来触ってはいけない部品がいたるところに鎮座しています。もちろん鍵をかけるなどの対処はなされていますが、やっぱりイタズラが多いのでしょう。最近近鉄電車さんに導入されたシリーズ21の車両はその点を上手に処理しています。

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(シリーズ21の一般型車両。どちらも大阪阿部野橋駅にて撮影)

本来の直線的なルートをあえてクランクにし、滞留しそうな場所を通路としました。この場所で留まるということは通路でたむろするという事につながり、あまり居心地のいいものではありません。コレを見たとき私は『スゲエ!』と思う反面、ちょっと寂しいという感じてしまいました。

 

 で、コレをもう少し発展させたのが『運転台を取っちゃった』というもの。

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(左:阪急電車さん、右:京阪電車さん)

先ほど『支線運用』のお話をしましたが、その支線運用を前提とした運転席のある車両といえども運転席があるだけでメンテナンスが結構かかります。ぶっちゃけ『手間』ですし、税金面などで結構支障があると言われています。『やっぱり運転台はいらない、でも将来的に使うかもしれないので運転席のスペースだけは開けておこう』という鉄道会社の考えが見え隠れするのがこのパターンです。

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運転台は取りましたが、まだまだ何らかの形で再度使うかもしれないという『勿体無い』精神、これはワンガリ・マータイ氏が国連の会議で発表する前、『鉄道は環境に優しい』ということを交通政策審議会陸上交通分科会が会議で取り上げる前から鉄道会社はやっていたのです。

 

 最後にご紹介するのは、時代の波に翻弄されて忘れられようとしているスペース。

Lonely22 (新幹線0系の電話室)

いわゆる『電話室』です。新幹線などの車内にいますと昔は『**県からお越しの**様、お電話がかかっております。近くの公衆電話までお越しください』という車内アナウンスがあったものです。現在では各々が携帯電話を持つ時代となり、今や風前の灯。鉄道会社によっては撤去したり、携帯電話用のスペースとしてリニューアルされたりしています。そして、この項目にも我らが京阪電車さんが登場してしまいます。

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特急用車両の3000系と呼ばれる車両です。一部車両は富山や大井川の方へ栄転しておりますが、京阪電車さんの中でも現役バリバリで活躍しております。

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どうしても京阪の3000系といえば『自社工場で部品を調達して、自らの手で改造したダブルデッカー』 であるとか、『運転台のある場所を撤去して、後から違う車両の端をくっつけたNゲージばりの車両』が注目されてしまいます。しかし注目しなくちゃいけないのはこの編成に設置されている電話室。それがコチラ。

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…テレビの横に大きな部屋。そう、これが京阪特急の電話室です。

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本来なら電話室として使われなければいけないのですが、京阪電車の沿線ではあまり電波の状況がよくありません。大阪・京都のターミナル部分は地下ですので使えません。ましてやテレホンカードを使わないといけません。そんな状況から最近ではこのスペースを本来の目的で使用する人がほとんどいらっしゃいません。

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(ほぼ正方形の寸法になっている。読書も快適)

まして3000系の電話室は元々4人分の座席があった場所(同じ特急用車両の8000系が2人分の座席スペース)。そのために結構な広さだったりします。 そのためラッシュ時はサラリーマンの有意義な読書スペースとして、また日曜日はカップル喫茶のような使い方として本来意図した以外の使われ方をしています。この場所に入ってみましたが、確かにこれはボーナススペース。何人にも迷惑をかけることなく滞在することが出来ます(もちろん本来の用途とは懸け離れていますので、利用する際は迷惑をかけないように)。

…ただ、一人用のスペースがあってもそれは孤独ではありません。我々は独りじゃありません。あるサイトのトップにはこう書かれています。

『Only is not Lonely.』って。

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