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2007年3月30日 (金)

『つばめが翔んだ日』の裏側

先週公開いたしました『つばめが翔んだ日』、お楽しみ頂けましたでしょうか。先日から予告していた『公開ロケ』、実はこういうのをやっていたわけです。

Tsubame31(サンダーバードとつばめ、ある意味夢の共演)

 これをやろうと思ったのは『擬人化鉄道』というのを知った時です。『擬人化…』は元からある鉄道を(主に)女性に擬人化して楽しもうという一種の<遊び>で、今密かにネットでブームとなっているものです。『電車男』以降認知度が上がってきた『日本特有の進化を遂げたコミック文化』と『鉄道』を組み合わせたというもので、その両方をある程度知らなければ楽しむことが出来ないというかなり高等な趣向だったりします(この項目に表示しているキャラクターが『擬人化鉄道』の一例)。…ただコレをそのままやるのは面白くない。…そう思った瞬間、私には一つのキーワードが出てきました。

「『擬人(ぎじん)化鉄道』に対抗して、『擬鉄(ぎてつ)化人間』」

そう、鉄道を人に変化するのではなく人を鉄道に変化させる。通常の人間生活の中に突如登場する鉄道車両、それはあまりにもインパクトのある光景ではないか。思いついたらすぐ行動、私は早速鉄道車両の形をした被り物を作ることにしました。

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今回は『ペーパークラフトメーカー』さんで公開されている787系のペーパークラフトを元に制作していきます。ペーパークラフトのデータをそのまま巨大化し、東急ハンズさんで買ってきたデザインパネルに寸法を写します。

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(途中で寸法を間違えたため、隙間を作りそこに紙粘土を入れて補強)

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(キーポイントとなる上部照明部分はインクの乾いたフェルトペンのフタを使用)

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組み立て終わったパネルにスプレーで塗装を施します。ライトがある部分には書き割りの手法を用いて絵を貼り付け、溝や文字の部分は直接マジックで書き込むことにします。

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作り出すまではどういうものになるかは判らなかったのですが、形にしてみるとまぁ面白いったらありゃしない。あまりにも大きなものが仕上がりました。かぶってみるとさぁ大変。いつもの私が私じゃない、気が大きくなっちゃって結構大変。

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『多分使わないな』というシーンも、『まぁ近くに特急が止まってるんだからついでに撮影しとこう』。かなり大胆です。厚さ約1ミリのスチレンボードに囲まれているだけでどうしてこんなにも大胆な行動を取ることが出来るのでしょうか。かのデイリーポータルZのウェブマスターさんは『被り物を被ると強くなる』そうです。今回このような被り物を被って大阪・京都市内を徘徊しましたが、確かに被り物を被ると強くなれると思います。

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…ただし、一人だと確実におかしな人ですけど。

 

 

 

<オマケ>

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被り物の大きさが大きさなので、荷物券を買おうと某駅の駅員さんにお願いしたら『いやあ、ここまで立派な帽子を荷物とは呼べません 、どうぞこのままお通り下さい。』と言われました。驚きなのか呆れなのかは未だに判りません。

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2007年3月24日 (土)

つばめが翔んだ日

私は昔から鉄道が好きでした。子どもの頃、自宅の近くで走っている電車を見ては『あの電車はどこに行くんだろう』とワクワクしていたものです。そして時が経つにつれ鉄道以外にも興味の対象が広がっていき、何時の間にか鉄道が好きだったという気持ちが思い出の小箱の隅に追いやられていきました。

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…しかし、その思いを再び思い出させたのがJR九州さんでした。初めての一人旅で行った九州で初めて見た特急や普通列車のデザイン性に今まで体験したことの無い衝撃を受けたのです。これはまるで美術品ではないか、今まで体験していた鉄道というのは一体なんだったんだ…。私は駅の片隅に置かれていたパンフレットを手にとって思わず自宅に郵送、帰ってから鉄道関係の資料を読み漁りました。

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その衝撃は大学の卒業論文のテーマを当初決めていたものから変更してしまう位のものでした。その後紆余曲折を経て現在に至っているわけですが、この時の衝撃がなかったら今みたいに鉄道を愛してしまうということは考えられなかったと思います。ただ、あまりにも鉄道を愛してしまったために私は…

 

 

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わー、オレ「つばめ」になっちゃったよー(注1)

朝起きると頭が妙に固い。なにやらデコボコしている。起きて真っ先に鏡を見るとそこには787系の姿が。あまりに鉄道、しかもJR九州を愛するあまりに頭が電車になってしまいました。擬人化鉄道というのは聞いたことがありますが、擬鉄化人間というのは聞いたことがありません。ヤバイです。かなりヤバイです。でもそんな状況でも今日一日の予定をこなさなくてはいけません。人と会うという約束を果たすために早速大阪市内へ。

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大阪で待ち合わせといえばビックマンやロケット広場が思い浮かぶ人が多いかと思います。しかし、私の場合は何故か大阪マルビルを選ぶことが多いのです。何せ今回の待合せはちょっとした男と女の秘め事…。そう、『でぇと』なのです。

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都会のコンクリートジャングル、その中にポツンとある広場で春先の暖かな日差しを感じつつ彼女を待ちます。近くのスターバックスで飲み物を買いながら小一時間待っていると、一通のメールが私の携帯に飛び込んできました。

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そこには『行けなくなりました』という文字列。もしや、私の頭がこうなったからか?この頭を見て驚愕のあまり出会うのを諦めたとか…。いや、彼女に何かあったのだろう、何らかの事情があったのだろう。私は空いた時間を利用し、この頭をどうすれば元の頭に戻すことが出来るのかを検討する為歩きながら考えます。

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(何気ない街並みを歩く私。周囲の人は見て見ぬフリ)

神宮寺三郎のタバコや猿渡俊介のブラックジャックの様に、私は物事を考える時必ず歩きます。このような頭を解消するにはどうすればいいか、鉄道界のみならず医学界にも衝撃を与える今回の出来事。まさかJR九州さんに聞くというわけにはいきません。そこで近くのインターネットカフェに入りネットを検索してみると…

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近畿車輛という会社のホームページに787系の姿が。調べるとどうやらこの会社が787系を製造していたそうです。それならばこの会社に行けば何らかの具体策を聞くことが出来るのではないか?

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近畿車輛さんはモノづくりの町東大阪に工場を構えています。最寄り駅はJR西日本学研都市線の徳庵駅。JRが最寄り駅なのにも関わらず、何故か会社は近鉄系列というちょっとした謎を持っている会社だったりします。徳庵駅からは歩いて5分程度の距離。ちょっと歩くとそこには澄み切った青色で書かれた『近畿車輛』の看板が設置されています。

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…よし、ここまで来たら後は大丈夫。 後は工場の人にこの頭の原因と対策を相談すればいい。入口近くまで辿り着いた時…

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今日祝日で工場休みやん。

…本末転倒とは正にこのこと。カレンダーにも書かれていたことなのに、どうして気づかなかったのでしょう。カレンダーを思い出していれば今頃こういう無駄なことをしなくても済んだのに。

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仕方なく私はまた周囲を歩き倒します。歩けば歩くほど何らかの解決方法を見出せるのではないか…。淡い期待を信じて私は歩き続けますが、何も思い浮かぶことが出来ません。同じ場所で歩いているからだ、そう感じた私はJRの改札口を潜りぬけ違う場所へと向かいます。

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(列車の中に列車がいるという珍妙奇天烈な状態)

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新快速に乗って30分、辿り着いたのは古都京都でした。古き文化を代表する街である一方、革新的なものも受容する懐の大きさを持つ街であります。そんな街ならば、今の私の悩みを解決できるのではないか。淡い期待を膨らませつつ改札口へと向かいます。

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京都はもう春の雰囲気、京都駅は観光、ショッピング、そして待合せの人々で賑わっています。しかしその周囲の人々は『何らかのアトラクションか?』という視線で私を見つめていきます。

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考え事をしながら京都駅周辺を歩いていると、あることを思い出しました。寝る前、私は『つばめ』に関するサイトを見ていました(今から思えばこれを見ていたからこういう頭になったのかもしれません)。そこには終戦直後に走っていた2代目のつばめを牽引していた蒸気機関車が京都に保管されている…といいます。丁度私は京都に来ています。もしやその蒸気機関車に逢えば何らかの解決方法があるのかもしれません。

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そこで訪れたのが京都駅から歩いて約20分の場所にある梅小路蒸気機関車館。ここは蒸気機関車の動態保存活動を主としてJR西日本が運営している場所です。

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入場口がある建物は山陰本線の二条駅旧駅舎を移築したもので、現在は資料室として利用されています。その奥に広がる扇型の建物に歴戦の勇姿を我々に見せ付けた蒸気機関車たちが格納されています。

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しかもこの博物館は現役の車両基地『梅小路運転区』としても活動しており、実際にJR西日本管内で運行される蒸気機関車などを保守・点検。片隅には実際に走行する蒸気機関車に乗ることが出来るアトラクションも供えています。

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そこに鎮座していたのがC62-2、徐煙板に銀色の『つばめ』が燦然と輝いています。この『つばめ』が元となり、C62-2は『スワローエンゼル』という愛称で呼ばれていたそうです。黒く光るボディと銀色に輝く頭。新旧『つばめ』のご対面であります。現在整備中ということもあり近づくことは叶いませんでしたが、それでも出会えたことに感動を覚えてしまいます。

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「…C62さん。いや、スワローエンゼルさん。初めまして。」

「いやあ、チミ頑張ってるねぇ。九州で大活躍してるって噂は聞いてるよ。最近新幹線のつばめも登場したんだって?これからもまぁ世のため人のため頑張っちゃってよ」

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「あの、ボク実は『つばめ』じゃないんです。朝起きたらつばめになっちゃってて…。」

「あ、そうなの?変わった事をしてるんだね。」

「それでどうすれば元に戻るのか相談しようと思って…。」

「ああ、そうなの?でもいいじゃない。キミは鉄道が大好きなんだろ?」

「ええ、そうですけど…」

「だったらソレでいいんじゃない?一発で鉄道好きだってわかるじゃないの。」

 

 

…スワローエンゼルさんのアドバイスがきっかけとなって、私の頭は未だ「787系」のままです。世間から一発で鉄道ファンだとわかるであろうこの頭を抱えたまま、私はこれから先も鉄道を愛していきます(注2)

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(注1:このセリフは某実写版デビルマンの口調で読むと面白いかと)

(注2:もちろんフィクションです)

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2007年3月18日 (日)

ふたつの宇治駅

(2007年3月19日午前0時25分、タイトルを変更しました)

 意外と知られていないことですが、お茶の名産地として有名な『宇治』、宇治金時の宇治がある京都府宇治市には二つの『宇治駅』があります。

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(左:宇治駅の位置を知らせる地図、右:宇治川)

宇治川という川を挟んで退治しているJRと京阪の駅、昨今のニュースではJR宇治駅のタクシー乗り場に『小型』『中型』という文字が道路上に書かれていたというニュースがありましたので、知名度という視野から見るとJRの方に軍配があるように思えます。今回はこの2つの『宇治駅』をちょっと見てみましょう。

 先ずはニュースにも紹介されましたJR宇治駅のタクシー乗り場から。

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(消しているとはいえしっかり残っている)

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(中型タクシー乗り場と書かれた場所はタクシー降り場)

…確かにプロが書いたんじゃないか?と言わんばかりの書きッぷり。これはこれですごいことです。今回本当はこのタクシー乗り場だけを取材する予定だったのですが、実際に取材をしますとそれ以上に『宇治駅』の姿に興味をそそられてしまいました。先ず最初にJR宇治駅の周囲をご覧下さい。

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…宇治市というのは閑静な住宅街だというイメージがあったのですが、駅舎から駅前広場に降り立った際目に写るのはアミューズメントパークみたいな装飾の数々。ある意味『パラダイス』一歩手前です。こんな装飾が沢山ある宇治駅周辺ですが、駅舎自体は結構地味な構造になっています。

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周囲が観光色豊かな状態になろうとしているのに対して、駅舎自体は『宇治らしさ』をほのかに漂わせる堅実的なデザインとなっています。この外観と同様に駅舎の中も実に堅実です。

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…所々に緑茶の「緑」をデザインとしてあしらっただけで、色覚的に『ああ、宇治だねぇ』と想像できるものに仕上げています。よく言えば堅実的、違った視線から見ると面白みにかける駅舎だと思います。一方の京阪と言えばどういう駅舎かと申しますと…

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…和の要素が一切ありません。コンクリートで構成されたちょっとモダンな洋風建築となっています。『なんだ、これじゃあ面白くも何も無いじゃないか!』というのはまだ早すぎます。京阪宇治駅はこれだけではありません。先ほどの地図を今一度ご覧下さい。

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京阪宇治駅の真横にはJRの奈良線が走っているのが判るかと思われます。この路線の配置が京阪宇治駅の駅舎を新築する際一番の問題となった箇所だったと思われます。しかしこの配置が京阪宇治駅の最大の特徴として生かされることとなったのです。

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改築前はこの洋風建築だった部分に駅の機能を全て設置していました。その為乗車する際は一旦JRの路線を潜って移動、改札を通ってもまだ乗車するには距離がありました。過去一度だけ利用させていただいたことがあったのですが、その時はどうしてこういう構造にしたのかちょっとだけ納得できない構造でした。

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しかし、新しく建てられた京阪宇治駅の駅舎の場合、あえて役割を分割しました。プラットホームと改札口、そしてエントランスの部分を明確に分けたのです。従来の駅業務を行っていた場所にショッピングスペースを設置。ホームの場所を後退させ、空いたスペースに新たなる駅の業務スペースを設置しました。その結果利用する人は構造上長い距離を歩かなければならないことに対して苦痛を感じることなく歩くことができるようになりました。

…ま、これだけならどこにでもある話。見せ場はここから。この駅業務を行う場所というのが先ほどのデザインとは打って変わった施設となっております。それがコチラ!

 

 

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…どうでしょうか、この円を多用したデザインの数々。コンクリート製の味気ない駅舎は多々ありますが、コンクリートの風合いを見事に生かしきったデザインはあまり見たことがありません。この駅を利用する際、駅の構造上どうしても閉塞感がある直線的なデザインが連続するようになります。単調になって退屈感を増してしまうところに出てくる丸の姿に思わず目がひきつけられる事でしょう。建築のデザインなどにこだわる人々には『日本人は建築に円を使いこなせない』等と仰る方もおられるかと思われます。しかし、それはあくまでその建築物を単体で見た際に思ったことであり、駅舎のトータルバランスとして考えるとこの円形が連続する駅舎はそんなに悪くないと思います。

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この京阪宇治駅、南海電車の『ラピート』をデザインした建築家が設計をした…と言うとなぜか納得する人が多いというのは何故なんでしょうねぇ。

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2007年3月 9日 (金)

ちょっとしたお知らせ

<緊急のお知らせ>

私の体調不良によりまして、2007年3月18日に予定しておりました公開取材を3月21日に変更しました。参加される方は今一度ご確認下さいますようお願い申し上げます。参加を予定されていた方々にご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。

 いつも『レールウェイコンシェルジュ』をご覧頂きまして誠にありがとうございます。開設から約1年となりました当サイト、本日4万ヒットを達成することが出来ました。これも全て皆様からのおかげでございます。

 さて、当『レールウェイコンシェルジュ』、毎週金曜日に新しい情報を掲載しておりますが、今週は新たなる情報を提供することが出来なくなってしまいました。原因は昨年8月22日の更新と同様の『ぎっくり腰』であります。この時は3日間の静養だけで済んだのですが、今回は立て続けに動かせない用事が連続した為に相当悪化しております(現在も何とか腰にコルセットを巻いて家族に『ボンレスハムだね』と揶揄されながらパソコンに向かっております)。その為、今回は皆様に鉄道の興味深い世界を伝える事が出来なくなってしまいました。毎週の更新を楽しみにされておられる方々には『多大なるガッカリ感』を与えてしまう結果となったことをお詫び申し上げます。

 …と普通に終わってはちょっとアレなので、ちょっとしたお便りをご紹介します。先日公表しましたメールアドレスに『遠目でもいいので一度でいいから取材している姿を見てみたい!』というご意見を頂戴しました。確かにどういうやり方をしているのか気になるのも無理はありません。基本的にこの『レルコン』の取材は単独で行っております。

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<基本的にこういう写真は一人撮り、ビバタイマー撮影>

取材も突発的に行いますので、もちろんアポなし。好き勝手に行っていますのでいつ何時行われるかは自分でもわかりません。しかしこういったお便りが届いたのも何かのご縁。あえて日程を定めまして、レルコンの取材をやりたいと考えております。話し掛けて頂いても構いませんし、遠目から冷たい視線で見て頂いても構いません。後ろ指を指されようとも私は私の道を驀進していきます。

…というわけで、告知でございます。

 

<<『レールウェイコンシェルジュ』約一周年特別企画・計画的?な取材風景を皆で生暖かい視線で見守ろう>>

<開催日>2007年3月21日12時(あくまで予定です。ぎっくり腰の具合によっては変更することがあります)

<行程>12時にJR京橋駅をスタートします。その後「徳庵駅」→「大阪駅」→「京都駅」→「某博物館」に出没する予定です。

<取材内容>一応秘密とさせて頂きます(まぁ行程を見ればどういう取材かお判りだろうと思いますが)

 

…もし生で見たい!という奇特な方がおられましたらどうぞお付き合いください。

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2007年3月 2日 (金)

新たなる鉄道趣味のご提案

 このところ『鉄道ファン』が微妙に脚光を浴びようとしています。昨年頃から鉄道ファンの大御所と呼ばれる方が参加されている『鉄子の旅』が微妙にブレイク、今年の春からはTBS系列で『特急田中3号』というドラマも始まり、一躍『鉄道ファン』が世間に認められようとしています。…ですが、現実はそんなにヤワなものじゃないということも我々は知っています。一般的な視点から見ると『鉄道ファン』の行動パターンには理解されにくいような気がします。例えば鉄道を撮影する。

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(和気藹々と写真撮影をしている風景・2枚とも大阪駅にて)

いわゆる『撮り鉄』と呼ばれる行為、こちらの写真の様に和気藹々と撮影するような状態ならば周囲の方々も鉄道趣味に理解していただけるでしょう。しかし、これらはカメラという文明の力を用いた表現活動でしかありません。ましてや以前取り上げました様に特別列車になると『これでもか!』と言わんばかりな状態に陥ってしまいます。そこで今回使用するのは

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…CROQUISと書かれた帳面。そう、今回は鉄道の姿を自らの手によって紙に書き記していきます。高価な機材もいらない、ただスケッチブック一冊鉛筆一本持って駅に出向き、その駅の風景をスケッチする。美術館に展示している彫刻をデッサンしていくかの如く、駅の瞬間を紙に記していく…。素敵ではありませんか、皆様も一度駅でスケッチしてみては如何ですか?

 

…という提案をする予定でした。しかし現実はちっぽけな私の理想を容易く飲み込み、希望の光を摘み取っていきます。

 この企画を思いついた次の日、『まぁ考えてもアレだからとりあえず駅に行ってスケッチするか』と思い立ち、大阪市内へと出向いた私。こう見えても一応芸大生、しかも所属していたのが絵画・音楽・映像・演劇等々多種多様な技法を一通り学ばされる学科に所属していたので、ある程度は絵を書くという自信がこの時にはありました。

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(私の左手、ちなみにこの絵は10分間で書きなぐりました)

例えば左手を書く。短時間で書き上げる(いわゆるクロッキー)ということは大学時代に何度もやらされており、ある程度は書ける状態でした。事前にこういう自信があったからこそ、今回の企画を思いついたわけです。で、先ず向かったのが京阪電車の淀屋橋駅。

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私が良く利用するという駅で終着駅。折り返す電車を描写するにはもってこいの場所です。先ずは小手調べ…とばかりにカバンからスケッチブックを取り出して鉛筆を握るワケです。後は一心不乱に目に映った光景を書きなぐるだけ…。しかしそういう行動を行うと何故か一気に周囲の空気が変わります。

『オイ、あいつ何やってんだ?』

『鉛筆握り締めて書きなぐってんぞ』

『しかも一心不乱に電車を見つめているじゃないか!』

 

…。

芸術系の大学を出たとはいえ、私の心の中には若干の心を聞く耳、『恥』という感情が残っています。涙の数だけ強くはなれますが、アスファルトに咲く花の様に存在を健気に魅せることは三十路を過ぎたオッサンには出来ません。書きなぐっていくにつれ増えていく私の中の心の恥メーター…。私はおよそ5分で書きなぐることを止めてしまいました。

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一応利用者や駅員さん達に迷惑にならない様、駅のホームの一番端で行いました。それでも何となく「あ、僕はここにいちゃあいけないんだな」と思わせられる空気を感じつつ書き上げたのがこちら。

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(なんだろコレ、芸大に通っていた人間が書く絵ではない。ヘタにも程がある)

…でもこの時点で私の頭の中には『ちょっと緊張していただけだ』『電車がドーンと見えなかったから構図にムリが出たんだ』『地下空間という閉塞した場所だから余計にこうなったんだ』と現実を直視しないピーターパンな思考が満ち溢れていました。そこで気を取り戻すべく地下鉄に乗って新大阪駅まで移動。

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ここならば電車もドーンと見えますし、地下空間ではありませんので閉塞感を味わうこともありません。よし、大丈夫とばかりに入場券を買って駅構内へと潜入します。本来ならば『のぞみ』を書きなぐりたいところではありますが、何分『のぞみ』は連結している両数が多く、先頭車両を描くとなるとホームの端まで行かないといけません。

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ましてやホームの端は運転手さんや車掌さんが出入りする場所でもあり、運転手の安全を守るという昨今の事情もあってか警備員さんが常に待機しております。そんな状況下でスケッチブックを広げて書きなぐるというのは警備員さん達に「ああ、春がやってきたんだなぁ」と思われてしまいます。

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そこで今回はJR西日本管轄の列車だけが利用する20番ホームへやってきました。いわゆる折り返し運用を行うケースが多く、そのため書きなぐる時間にも余裕があると思われたからです。今回は14時15分に発車する『こだま663号』を被写体とします。

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14時4分、『こだま642号』が長旅を終えて新大阪駅にやってきました。このまま折り返して発車する14時15分までだと時間がありすぎます。今回は隣の22番ホームにやってくる『のぞみ85号』が新大阪駅を発車する14時11分、7分間のタイムリミットを設けてみることにしました。7分間、先ほどの淀屋橋駅とは違って気分は晴れ晴れとしています。スケッチブックを持つ手にも自然と力が入ります。そして14時11分…

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(やっぱり芸大卒の書く絵ではない)

…何があったんだろう。絵を書き終えた際見た最初の感想がコレでした。『人に見られているという緊張感がそうさせてしまったのか』『いや、環境が悪いんだ』『そういえば頭上には何度かジェット機がやってきている』『運行の安全を促すアナウンスが何度もあった』『しかも新幹線の流線型という形状がいきなり出てきたのも問題だ』『そうか、新大阪駅には問題がありすぎたんだ!』…。人間という生き物はなんて愚かなのでしょう。今考えるとどうしてこんなに言い訳が多いのか。

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(とりあえず、コーヒーを飲んで一休み)

 

…最後に向かったのは阪急梅田駅。環境が悪かった、電車が流線型だからという諸問題を解決できる駅として思いついたのがこの駅でした。

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マルーン色の車体、広々とした駅構内、艶やかなプラットホーム、駅構内には常時季節に応じたオーケストラ音楽が流れるという駅構内の環境としては最上級クラス、流石阪急電車!といわんばかりの駅にて筆を進めます。

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今回は時間制限も電車が折り返す10分間に決めました。阪急京都線1号線、10分間の勝負です。伝統と環境、そして芸術大学出身のプライドをかけて取り組んだ勝負の結果は…!!

 

 

 

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…完敗でした。

なんだろう、ここ10年の間一気に描写力が無くなっちゃったんだろうか。もう一度基本の基本からやり直そう…。そう思った今回の提案でした。

 

 

<オマケ>

一応念のため撮影した写真をモニターに出して書き写してみました。誰もいない空間で書きなぐったらどういう状態になるかを比較する為でもあります。

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…上手いか下手かは皆さんにおまかせ致します。

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