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2007年1月 5日 (金)

貴志駅とビートルズの関係

 皆さんは『和歌山電鐵』という会社をご存知でしょうか。

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ちょっと前までの名称『南海電鉄貴志川線』と言えば思い出す方もおられるでしょう。JR和歌山駅を起点として紀の川市(旧貴志川町)までを走行するこの路線、地方都市の公共交通が共通して抱える「自家用車の利用による乗客の減少」が進み、一時は廃線されると報道されました。しかし地元の方々の熱意によって廃線は免れ、現在は上下分離方式(鉄道資産を自治体が所有し、鉄道会社は運営のみ担当するやり方)による運行となっています。

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(左:和歌山電鐵貴志川線の開通記念告知、右:和歌山電鐵の車両、7月に撮影)

 現在この和歌山電鐵の車両は両備グループのデザインを担当している水戸岡鋭治氏の手により『いちご電車』として次々とリニューアルされています。どうして和歌山なのに『いちご電車』なのか。それはいたって単純な理由です。この終着駅の貴志駅周辺が和歌山県内では有数の苺の産地だから…なんだそうです。

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(名産品の苺をモチーフとしたエンブレムがきちんと作られている。ここらへんが水戸岡イズム)

そのため貴志駅に到着する際にはかのビートルズの名曲「Strawberry Fields Forever」が流れます。…正直言いますと、この話をウィキペディアで知りまして『いや、そこまでせんでええやろ』と突っ込んでしまいました。「Strawberry Fields Forever」という歌は到着用のチャイムとしてはあまりにも地味なメロディラインで、現地で私も聞かせていただきましたが、聞いた際に違和感を大きく感じてしまいました。

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(左:和歌山電鐵貴志川線貴志駅、右:駅舎に飾られている園児たちの絵画)

…でもこの歌、単に「苺」つながりで採用されたというのではありません。この「Strawberry Fields Forever」というタイトルを検索したところ、盛岡タイムズさんのある記事が検索されました。そこにはこう書かれています。

『ジョンが歌う『ストロベリーフィールズ フォーエバー』は、「生まれ育ったふるさとを決して忘れてはいないよ」というメッセージだった。』(出典:盛岡タイムス「〈杜陵随想〉伊能専太郎 「ストロベリーフィールズ フォーエバー」

この意味を理解した瞬間、<和歌山電鐵が考えているこの路線のあり方>というのが氷解していきました。まるで雪山に春を告げるふきのとう。せせらぎと共に水へと役割を変えていく雪の如く私の身体を駆け抜けていったのです。そう、このメロディは何も考えずにつけたのではない、この路線を愛してくれる沿線住民の『故郷』を守るという意志をこのメロディに乗せて発表したのでしょう。

泣きました。

…こう言い切ると偽善者だと揶揄されるかもわかりません。でも泣いてしまったんだから仕方ありません。もし意識してこの曲の採用を決定したのならば、この和歌山電鐵の親会社である岡山電気軌道、そして両備グループ会社はとても粋なことをしてくれる会社なのかもしれません。

 

 

<追記>今日、この貴志駅に駅長さんが就任しました。その方の名前は「たま」。日本初となる三毛猫の駅長さんです。助役さんは母親猫のみいさんとちびさん。終身雇用だそうで。勝手に「駅員になっちゃった」例はいくつか知っていますが、会社側が認めるとは思いませんでした。…粋だねぇ。

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