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2006年10月 6日 (金)

世界一長い芸術

いよいよ10月に突入しました。後半戦のスタートです。当「レールウェイコンシェルジュ」もお読みになられている皆様方に鼻で笑っていただけるようなモノを目指してこれからも精進してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、皆様方にはお伝えしておりませんでしたが私、大阪にあります某芸術大学の出身だったりします。しかも在籍していた学科というのが「芸術全般をプロデュースする」という趣旨の元設立された学科でした。もちろん己のプロデュースすら出来ない人間がどうして他人をプロデュースできるのか?…という自虐的なお言葉も頂戴しておりますが、そこはソレ。今回は秋の気候に誘われて「芸術探訪」へと参りましょう。

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(駅には美術展の宣伝ポスターが。こういうのを見ると秋だと感じる)

皆様は「芸術」という言葉を聞いて『格調高いもの』『美術館にあるもの』と認識されておられるのではないでしょうか。確かにそう考えられるのも無理はありません。美術館という特殊な場所で、格調高くポンと置かれている段階でちょっと敷居が高いと感じられる場合もあるかと思われます。今回はもっと身近に芸術に触れられる場所をご紹介いたしましょう。

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というワケでやってきたのが大阪空港へのアクセス路線として利用されている『大阪モノレール』の門真市駅です。大阪空港から千里中央、万博記念公園を通って茨木市・摂津市、そして門真市へと走行しているために『世界一長いモノレール』としてギネスに登録されています。昨今は東京モノレールから直接きっぷが買えて利便性も向上、第3セクターの鉄道でありながら単年度黒字を計上するなどなかなか明るい鉄道会社だったりします。で、実は各々の駅全てに芸術作品が展示されているというのを皆さんはご存知でしたでしょうか?

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(左:大阪モノレール万博記念公園駅、右:大阪モノレール蛍池駅)

大阪府が収拾していた芸術作品を温存しておくのはもったいないと、広く一般の方々に鑑賞してもらえるよう大阪モノレールのコンコースに置いた…という経緯があります。確かにこれらの作品はモノレールの味気ない駅舎にとっても一つのアクセントとして有効活用できていると感じます。今回大阪モノレールの駅を全て回りまして鑑賞させて頂きましたが、その作品のどれもが私の感性を豊かにさせてくれました。本来ならば移動するだけの交通機関であるモノレールが、一つ一つの画廊へと移動させてくれる回廊のような役割を担ってくれていた…と思うと、この大阪モノレール美術館という制度は実に有益ではないでしょうか。…しかし、残念な事に作品の大きさや駅舎のスペース等の都合によって芸術作品そのものが他のものと混在してしまった結果、密やかに設置されてしまっている駅があったり、設置されている箇所が美術品にとっていいのか?という駅がありましたことだけ付け加えておきます。

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(さてどこに作品があるのでしょうか?)

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(左:漠然と芸術作品が置かれている万博東口駅、右:ディフォルメされた太陽の塔の広告が作品より目立っている千里中央駅)

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(大阪空港駅構内にあるモノレール美術館。「美術品をただ空いていた通路に置いただけ」と言われても反論できない。中央の赤いオブジェは埃だらけの上にオブジェの中にゴミまで捨てられていた

ただ、調べれば調べるほどこの大阪モノレールは芸術的な要素がたくさんあります。北欧のある国の地下鉄を「世界一長い美術館」と紹介していた記事がありました。その国の地下鉄の駅構内を芸術家達が装飾を施したためにそういう名称になったそうですが、こちらは駅構内の美術品だけではありません。この大阪モノレールの全てが「芸術」と言っても過言ではないと思われます。正に「世界一長い芸術」なのです。その芸術の中で一番我々の眼に飛び込んでくると言えば、この大阪モノレールの車体ではないでしょうか。

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…いわゆる「ラッピングトレイン」という広告を施した車体です。まぁこれが大阪らしい色彩感覚を施したものでして、宣伝効果はバツグンと言っていいでしょう。元々モノレール自体高い場所を走行する場合が多いので、このような広告を施そうと考えるというのは見事!としか言いようがありません。もちろんそれで芸術だ!なんて言ってはいけません。大阪モノレールの駅と駅を繋ぐ路線も芸術的な要素がたっぷりとございます。

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(左:淀川に架けられた橋桁、右:近畿自動車道を跨ぐ為に架けられた橋桁)

美しきアーチではありませんか。元々この大阪モノレールが計画されていた路線は、高速道路や主要幹線道路とほぼ同じルートを平行して計画されていましたので、どうしても道路や架線に影響が無いように設計を施さなくてはなりませんでした。その結果、このようなアーチがアーチコチに作られるようになってしまいました。…誰ですか?ダジャレが寒いと言った人は?跨ぐだけではありません。スペースに余裕があるのならば!…と、建物ギリギリな場所をすり抜けている場所もあります。

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(南茨木駅直前。線路の傍にビルがあるためこの部分だけは時速を落として走行する)

モノレールが出来る事を甘味して建物は設計されていますから、建物にモノレールが接触する事はありません。でもなんとなく当たるんじゃないか?というスリルを味わう事ができます。生と死を無意識のうちに感じ取れるというのも芸術性に溢れている!素晴らしいではありませんか。しかもこの建物の横を通り抜けて駅に到着しますと、目の前に我が目を疑うような光景が現れてしまいます。それがコチラ。

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目の前には大阪貨物ターミナル駅へと向かう貨物線がドンと鎮座しております。一瞬これだけ見ると「モノレールが貨物線にぶち当たる」と思われるかもしれません。本来ならこういう構造物が目の前にある場合、モノレールの特性である粘着性を利用して最初に下がってから目の前の構造物を避けるように設計します。しかしこの南茨木駅の場合、大阪モノレールが開通した直後は終着駅でした。終着駅である以上折り返し用の設備(簡単に言えばポイント)を設置しなくてはいけません。その設置スペースを確保しなければいけないためにあえてこういう目線になるような設計になってしまった…と思われます。もちろん設計上安全が確保されているのですが…、これがまた通過する時ちょっとだけ怖いんです。今回この模様を「動画」(要Quick time player)でご用意致しました。列車が柱に近づくと、『チーン』という音が鳴ります。これが『速度制限解除』のサインでして、この瞬間からモノレールは速度を出し始め、柱の真横に当たるのではないかと思わせる位の速度で通過していきます。映像ではわからないかもしれませんが、実際に乗っていますとジェットコースター並。ヘタすればソレより怖いかもしれません。

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(大阪モノレール沿線にある万博記念公園。万博といえば太陽の塔でしょう。Be TARO!)

まとめ。

芸術を探しに今回大阪モノレールを取材しましたが、芸術というのは何も芸術性を意図した創作物だけではなく、身近なところに潜んでいるというのがよくわかりました。今回2日間かけて大阪モノレールの全ての駅を巡り、全ての芸術作品を鑑賞した結果、私の心に潤いが戻ってきたような気がします。皆様も今年の秋は身近な芸術を探求してみては如何でしょうか。

<今回のオマケ>

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(…万博行く前に美術品を見てあげてください。イヤこれマジで。)

追伸:近日中に大阪モノレールの駅構内に展示されている現代芸術の作品をご紹介いたします。お楽しみに。

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