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2006年9月 7日 (木)

段々心惹かれていく

(2006年10月16日・記事を追記しました)

 秋がゆっくりと日本列島に訪れようとしております。ここから暫くは『秋』にちなんだ内容で皆様方にお届けして参ります。まずは秋は秋でも安芸、『広島電鉄』さんのお話を少々…。 ま た ダ ジ ャ レ か ? という声には聞こえないフリをして、早速本題へと参ります。

 以前『誰が為に鐘は鳴る』という項目で広島電鉄さんのお話をさせていただきました。あまりにもマジメな語り口調だったので知り合いからは『お前頭大丈夫か?』等のご心配をお掛けすることになってしまいました。大丈夫です、いろんな事があったけれど私は元気です。(高山みなみの声色で)

 その広島電鉄さん。交通論の著作などには「LRTの先駆者」なんて表現をされていますが、みなさんはこの『LRT』というものは一体何なのかご存知でしょうか?この3文字のお言葉の意味を一般の方々は『段差の少ない車両』であると考えておられる方が多いようです。

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(広島電鉄グリーンムーバ、フラットなのでベビーカーも楽々乗車できる)

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(グリーンムーバーさん導入前に設計された車両には大きな段差が)

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(左:広島電鉄のグリーンムーバーマックスさん、右:岡山電気軌道のモモさん)

確かに、現在皆様方が思われている「LRT」のイメージには、「LRT」の利便性を伝える為に段差が少ない設計を行った次世代型の鉄道車両が使われている以上、そうお考えになるのも無理はありません(この点は鉄道事業者や地方自治体、交通評論家も反省しないといけないと思います。もちろん私も含めての話ですが)。しかし、車両だけで「LRT」になれると思っていてはいけません。海外では路面電車以外の普通の車両を使用しても「LRT」と呼ばれることがあります。そう、実はこのLRTという言葉、本来は「公共交通システム」を示す言葉なのです。ですので安易に「LRT」を「新しい路面電車」と考え、コレさえあれば地域活性するぞ!と計画の目玉みたいに考えてはいけません。単に路面電車を引いただけでは活性化どころか余計に地域が寂れる可能性だってあります。そのためには公共交通機関というものがいかに都市部と住宅地をどのように結びつけ、そして両者が発展をするためには如何にして行動するか…という部分の計画をきちんと明確にする必要性があります。地域だけでなく自治体や警察などの大々的な協力も必要となります。

 …で、この広島電鉄さん。どうして「LRTの先駆者」と呼ばれるようになってしまったのでしょうか。それは広島電鉄宮島線の駅のホームに理由が隠されています。

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(両方とも広島電鉄宮島線・地蔵前駅)

…奇妙な形だと思いませんか?駅のホームが一段高くなっている場所があります。この宮島線を走行している車両は先ほど紹介しました「グリーンムーバー」さんに代表されるような路面電車です。路面電車ですからホームが低くないと乗り込むことは出来ません。

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(左:広島電鉄市内線の電停、右:広島電鉄広電宮島口駅。どちらも低い)

これは何故かと言いますと、元々この宮島線と市内を走っている路線はまったく別の路線だったんです。日本の鉄道は『鉄道事業法』と『軌道法』という2つの法律がありまして、この宮島線は『鉄道事業法』に基づいて設置し、市内を走っているいわゆる路面電車部分は『軌道法』という法律に基づいて設置されています(現在この2つの法律の関係はかなり曖昧になっています。そういう試験が会ったら多分テストに出そうです)。ですので、この宮島線では当初普通の電車が走行していました。市内の電車とは現在の西広島駅で乗換えが生じていましたが、その不便を解消することと、市内電車へ住宅街からの乗客をシフトしようという目的で、1962年ごろから市内の電車がこの宮島線に乗り入れを開始。それが地域住民だけでなく観光客にも好評だったことと、車両の近代化を進めるに当たって規格を統一した方がいいという会社側の方針も相まって、普通の電車は1991年に運行を終了し、現在この宮島線には路面電車タイプの車両ばかりが運行するようになりました。

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(左:一見すると普通の鉄道の様に見える、右:でも車庫にいるのは路面電車)

都市部と住宅街、観光地である宮島への利便性を高めた結果、地域住人や観光客にとって利用しやすくなった広島電鉄。昔は交通のお荷物と呼ばれていたチンチン電車が行った起死回生の方針が、欧米で盛んになってきているLRTの方向性と合致したというのは何となく運命を感じてしまいます。この駅の段差はその頃を思い出させるマイルストーンなのかもしれません。

 

<オマケ>

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広電西広島駅は以前「己斐(こい)」という駅名だった。現在はチンチン電車っぽくないヨーロピアンな雰囲気漂う駅になっている。広告のダジャレがまぁ広島っぽくていいでしょ?

追記:「広電西広島駅」と「己斐(こい)駅」は全く別の駅として営業していたそうです。市内線と呼ばれるチンチン電車の駅が「己斐(こい)駅」で、宮島線の列車が発着していた駅を「広電西広島駅」と呼ばれていて、市内線から宮島線に直通する電車は各々の駅で停車して利用客の乗降をさせていたそうです。

今回の記事の内容に関し、広島電鉄の皆様、関係各位の皆様には多大なるご迷惑をお掛け致しました。ここに謹んでお詫び致します。

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