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2006年9月20日 (水)

えきのぼうぎょりょく

昨今語られることが多い「バリアフリー」ということば。昨今鉄道会社では『バリアフリー』の流れに沿って駅舎内にスロープやエレベーター、車内には車椅子の方々に対応した設備など次々と設置しております。また乗務員さん、駅員さんの方々の中には手話に対応できる方や介護などの専門知識を学んでおられる方々も多いと聞きます。『利用する全ての方々に喜んで乗って頂きたい』という鉄道会社の思いがそこには込められているワケです。

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(左:JR京橋駅の車椅子対応のエスカレーター、右:京阪淀屋橋駅のエレベーター専用改札口)

ところで、この「バリアフリー」。この中の「バリアー」という言葉には『防壁』という意味があるのを皆さんはご存知でしょうか。そういう意味合いから訳してみると『防壁を無くす』ということになります。駅でバリアーと称される代表と言えば『階段』です。この階段の段差がバリアとなっているという事は、『段差が多い=防御力が高い』…という意味合いと捉えてもいいのではないでしょうか?というわけで、やってみました。

1:調べる。

 今回は大阪を代表する路線のひとつ、「大阪環状線」の駅を調査対象にします。この路線、大阪環状線の中だけで完結する列車だけでなく、奈良・和歌山(関西空港)京都方面に乗り入れる車両が次々と行きかう賑やかな路線だったりします。一日中ホーム佇んでいても飽きる事はありませんが、今回の目的はその路線の駅にある階段。実際に数えることも考えましたが、今回は大阪環状線の駅に降り立っては駅構内の階段の撮影を行い、後にそこから計測する事にしました。…だからまぁデジカメの中には『お前、何撮ってんのよ?』と突っ込まれる画像ばかり。

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皆さんの目には単なる階段の羅列かもしれませんが、私はこの階段の写真が一体どこの駅の階段なのかが手にとるように判ります。今、TVチャンピオンで『駅の階段王選手権』なんて開催されたら多分初代チャンピオンになれる自信があります。ただ、コレを調査(撮影)している間、周囲の目線は冷たいものでしたし、実際にある駅ではそれなりの国家権力の方に職務質問されました(もちろん現在このような発表が出来るということは、きちんと相手様も納得されたという事です)

2:定める。

…写真に撮影した階段を、ただひたすら数えていきます。しかし調べていくと、大阪駅や天王寺駅、京橋駅や鶴橋駅のように一般的な駅舎と他の路線と乗り継ぐことを前提とした駅舎では一般的な駅舎より構造が複雑になっています。ですので、当初決めていた『階段の段数』だけで『えきのぼうぎょりょく』を決定するという事は不公平になってしまいます。そこで『えきのぼうぎょりょく』を算出するちょっとルールを制定してみました。

1:測定する階段は『改札口』から『大阪環状線のホーム』に通じる階段に限定する(大阪駅・天王寺駅など他路線のホーム数が多いと必然的に階段の数が多くなります。大阪環状線のホームとして限定すると平等になるのではないかと)。

2:改札口から一旦階段を共用して再度分かれる場合、共用している部分の階段をもう一度加算する。

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(2の条文を図にするとこうなります。この図の場合だと①+②+③+④+⑤×2という計算式で階段の数を求めることになります。)

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(またこの図の様にひとつの通路に複数の改札口へ向けての階段が設置されている場合の計算式は①+②+③+④+(⑤+⑥)×2となります)

3:改札口が複数あり、複数の通路でそれらと階段が繋がっている場合は、該当する改札口から最も近い階段と特定し、他の階段とは別個に考えます(今回の場合大阪駅や天王寺駅が該当します)。

4:これらの階段の数を合算したものを駅に設置されている全ての階段の設置数で割ります(大阪駅や天王寺駅は3の項目で関わった階段のみを合算する対象とします)。

5:4で求められた数値をホームに設置されている階段数で掛けます。

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(上記の駅の場合、ホームに3箇所出入りする階段が設置されているので、4で求められた数字から3を掛けます)

3:数える。

 まずは駅の階段数を測定します。毎日毎日一駅一駅、ひとつの階段ごとにドラマを見出していくように、どんどん、どんどんと数えていきます(もちろん私が数えましたので、もしかしたら間違いがあるかもしれません)。数える駅を終える度、下がっていく私の視力。数々の犠牲を元に調べ上げた数値をグラフにしてみるとこうなります。

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(ビバEXCEL)

…実に意外な結果になりました。本来大本命であろうと思われていた大阪駅が二番手に、意外なダークホースだった京橋駅がトップに踊り出ています。この数値を駅に設置している総階段数で割り出した平均段数で見ます、これまた意外な展開に。

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なんという事でしょう!全く無印だった大正駅がブッチギリのトップです。また近鉄電車が線路の下を走っている鶴橋駅が2位、大和路線の線路を跨がねばならない構造になっている今宮駅が3位。先ほども大本命と思われていた大阪駅がブービー賞というのも恐ろしい状態になっています。…と言いましてもこれにはワケがあります。この平均段数がトップだった大正駅がある場所、ここは大阪市でも海抜が低い場所にあります。尚且つ駅自体が近くを流れている川の堤防の高さ以上に線路を設置しなければいけないという物理的な問題があり、必然的に大正駅は高い位置線路を通し、低い位置に改札口を造らざるをえない構造になってしまったのです。

 一方の大阪駅。コチラは大正駅とは全く違う状態です。実はこの大阪駅、他の駅舎と比べて中途半端な階段がかなり多いんです。

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(これらはすべて大阪駅の中階段。いたるところに階段がある)

5段から10段程度のいわゆる「中階段」というものが大阪駅の大阪環状線ホームへ到達する道すがらたくさん設置されています。これには大阪環状線のホームの位置が改札口の真上に設置されているために設置されている箇所と、大阪駅周辺の地盤が弱くところどころで地盤沈下が発生し、それを解消するために微妙な段差を付けているようです(多分原因は前者だと思いますが)。

さて、お待たせしました。この平均段数にホームに設置されている階段の個数を掛けてみます。これによって当初の目的だった『えきのぼうぎょりょく』が算出されます。その結果がこちら!

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…京橋駅圧勝であります。2005年度のロッテ対阪神の日本シリーズを見ているかのようなレベルの大差。2位以下を大きく突き放し、ほぼダブルスコアといった感じがします。さすが京橋はええとこだっせ、グランシャトーがおまっせ。で、どうしてこのような結果になったのか、ちょっと分析してみましょう。まずは駅のホームに設置されている階段と、大阪環状線のホームへと至る階段数を数えてみます。

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…大阪駅はターミナル駅ですから、階段の設置数は多くなっています。しかし一方で中階段が多いために平均化した場合数字が低く押さえられる結果になってしまったようです。一方の京橋駅、こちらは駅の構造を見ていただければ一目瞭然。本来計算される事はないハズの学研都市線のホームに至る階段も、今回ルールに沿って検証すると計上せざるを得ない状態となってしまいます。出入り口が3箇所あるということと、そのどれもが階段を使用しないと移動できないという構造になっていること、それらの点を踏まえると、この駅に設置されているほぼ全ての階段がこの計算に関わってしまうことになり、京橋駅の数値が高くなってしまうという結果になりました。恐るべし京橋駅。

まとめ。

…今回『えきのぼうぎょりょく』ということで大阪環状線内の駅に設置されている階段を調査しましたが、ほとんどの駅にエレベーターや車椅子を乗降させる機能を持ったエスカレーターなどがきちんと設置されています。駅のバリアフリーというのはどんどん進んでいるという感じでした…が、まだまだ認知されていないというのが現状です。今駅はどんどん優しくなっています。皆さんも駅を利用する際、こういうバリアフリーが進んでいるという現状を今一度確認してみては如何でしょうか。

 

(今回のオマケ)

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(この写真撮影後に職務質問されました。さて、どの駅でしょう?)

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